コロナ禍が明けたら旅行に行きたい…。旅行と言えば、やっぱり温泉ですよね。今回の疑問は和歌山市のいろは228さんから届いた「火山のない和歌山県に天然温泉があるのはなぜ?」です。

 例えば、全国的に有名な、神奈川県の箱根や静岡県の熱海、大分県の別府。これらは近くにある火山のマグマで熱せられた地下水が湧出し、温泉になります。でも、和歌山に火山はありません。どうして県内には白浜や湯の峰など、天然温泉があるのでしょう?

 


 

地下で熱せられた海水が源

 「火山のない和歌山県に天然温泉があるのはなぜ?」。大地の成り立ちを研究する南紀熊野ジオパークセンターに聞くと、「海水を含んだ海洋プレートが沈み込み、水分が地中深くで熱せられ、その水が岩盤の割れ目を通って地表に上がる時、地下水と混じりあい、温泉となるんです」とのこと。

 紀伊半島の南にある南海トラフの周囲は1400万〜1500万年前、大量のマグマが地下深くに存在し、大噴火を起こしました。この時、地表だけでなく地中にも広がったマグマが固まり、土との間に水の通るすき間ができました。

 海水を含んだプレートは何万年もかけて沈み込み、圧力によって海水が染み出し、さらに何万年もかけて地上に上昇します。この時、地下深くにあるマグマで熱せられた海水は300度を超える熱さ。地中を上る熱々の海水が地下水とぶつかり、ある程度温度が下がってわき出たものが温泉です。つまり、紀伊半島で出る温泉は、何万年も前の海水なんです。

 旅先の露天風呂や足湯。これらが大昔の海水と考えると、ロマンを感じませんか?

(ニュース和歌山/2021年9月18日更新)