和歌山で長く愛される味にスポットをあてる「和歌山味物語」。 今回は、1933(昭和8)年創業のレストランフライヤです。 当初から受け継がれるオリジナルのドビソース(デミグラスソース)が絶妙のミンチボールやタンシチュー、ヘレカツと変わらぬ味は世代を超え愛されています。2020年は和歌山市民が選ぶ「極みメシ」の昼夜各部門で堂々1位に選出。 今や和歌山を代表する味の一つです。 さらなる飛躍を目指す4代目で店長の山井崇史さんに話を聞きました。

 

時代を超える 昔ながらの味

 創業は1933(昭和8)年。創業者の河内伊三郎氏は大阪で皇室料理を手がけるなど、料理人として修業を積みました。その後、和歌山市で「フライヤ食堂」の看板を掲げます。高い技術をトンカツやヘレカツといった洋食にさりげなく込めた味は人気で、数多く生まれた洋食店と一線を画していました。  

 しかし、1945年の夏、和歌山を襲った空襲で店舗を焼失。 戦後の物資が少ない中、コロッケ1本で店を建て直し、現在の和歌山市広瀬中ノ丁に店を構えます。以来、味を引き継ぐこと90年近く。「お客さんは、変わらぬ味を求めて3世代にわたり来てくれる。私も曾祖父、祖父、父が守ってきた〝昔ながらの味〟で勝負したいです」と力を込めます。

 

 

 

 

地元人気投票 堂々1位獲得

▲2020年は和歌山市民が選ぶ「極みメシ」で昼夜部門ともに1位。おなじみの看板の店舗は、お昼時は特に多くの人で賑わう

▲フライヤの代名詞はなんといっても「ドビソース」。代々受け継がれる味は、3世代にわたってお客さんを魅了する

 創業当初から受け継がれるドビソースは〝フライヤの命〟。 タンでだしをとり、1日中じっくり煮込んだソースは、タンシチュー、ミンチボール、カツや特製オムライス、ハヤシライス、最近誕生した洋風カツ丼……と味のベースです。 看板メニュー、タンシチューは「和歌山市で暮らしていた父親が余命短く、もう一度食べたがっている」との声が届くほど記憶に残る味です。

 2020年は和歌山市民が投票する「極みメシ」で、昼メシ部門、夜メシ部門で堂々の1位。テレビでも紹介され、「本当にありがたいです。地元に根ざし全国からも来てもらえる。そんな店になりたい」。

 第一歩として力を入れるのがレトルト製品で、ミンチボール、ハヤシビーフ、野菜ベースのポタージュスープです。「お陰様で注文が増えています。子ども、孫の世代へとこの味を未来へ引き継ぎます」。元ラガーマン店長が好きなのは〝挑戦〟。その姿勢がフライヤの伝統を深めます。

※現在、タンが品薄になっており、ご提供できないこともあります。 ご了承ください。

レストランフライヤ (和歌山市広瀬中ノ丁1ー13)

電話 073-422-0115
11:00〜20:30(ラストオーダー20:00)
火曜定休、12月31日・1月1日・2日休み
オンラインショップ(https://www.shop.friya.co.jp/

(ニュース和歌山PLUS77号/2021年9月24日発行)