《回答者》
外 科
楽クリニック
藤田 定則院長

 太ももや膝周辺、ふくらはぎの皮膚表面に、主に赤紫色で太さ1㍉以下の毛細血管が透けて見える病気を「クモの巣状静脈瘤」といいます。毛細血管の拡張が原因ですが、ホルモンの影響や皮膚が薄いことなども要因となります。また、太さ2~3㍉ほどの青い血管が目立って見えるのは、「網目状静脈瘤」と呼ばれます。

 いずれの静脈瘤も基本的に無症状で、治療は不要です。将来的に手術が必要な静脈瘤になることもありません。概ね問題ないのですが、まれに網目状静脈瘤などで、足のだるさやむくみの症状を伴います。その時は、血管内に薬を注射して静脈自体を固め血流を止める、保険適用の硬化療法を行います。固まった血管は半年ぐらいで体内に吸収され、消えていきます。

 ただ、この治療法は、血管内に炎症を起こさせるものですので、静脈に沿って皮膚に色素沈着が現れることがあります。時間経過とともに薄くなっていきますが、消えていく過程や加減には個人差があることを覚えておきましょう。

 一方、症状は無いけれども見た目が気になり治療する場合は美容目的となり、保険は適用されません。下肢静脈瘤には様々な種類があり、全てが手術対象とはならないのです。

(ニュース和歌山/2021年12月18日更新)