《回答者》
貴志川リハビリテーション病院 
手・足の外科センター

整形外科専門医 手外科専門医
谷口泰德 副院長・センター長

 ドケルバンという病名は、1895年にスイスの外科医のドケルバン先生が最初に病気を報告したので、この病名が付けられました。ドケルバン病は手首の親指側にある腱鞘とそこを通る腱に炎症が起こる腱鞘炎です。症状は親指を動かした時の手首親指側の強い痛み、腫れや熱っぽさなどです。親指を握って、手首を小指側に曲げた時に手首の親指側に痛みがでる場合はドケルバン病の可能性が高いです。親指を使って物をつかんだり、タオルを絞る、スマホ操作するなどの動作で痛みが増します。

 原因は親指の使い過ぎで、手作業の多い方、介護やスポーツで手を使用する人などに多くみられます。また、更年期の女性や妊産婦に多い腱鞘炎として知られており、女性ホルモンのバランスの乱れが関連していると思われます。

 治療はまず局所を安静にして、親指の使いすぎを控えます。さらに湿布をしたり、腱鞘内に局所麻酔剤入りステロイド注射をします。これで改善しない時や再発する場合は手術を行います。手術では手首の皮膚を少し切開し、腱鞘を切ります。手術時間は10分程度で、痛みなどの症状はすぐになくなります。詳しいことは手外科専門医にご相談下さい。

(ニュース和歌山/2022年3月26日更新)