和歌山には低山ハイクにぴったりな標高1000㍍以下の山がたくさんあります。その1つ、紀の川市の龍門山について2つの質問が届きました。同市の60代男性「山の名前の由来を知りたい」、岩出市の70代男性「岩出から見て西側が低く思いますが、どこが山頂?」です。

 標高756・6㍍の山で、3つのハイキングコースがあり、晴れた日は淡路島まで一望できます。和歌山市内から見ると富士山に似ていることから、「紀州富士」と呼ばれ親しまれていますが…。

 

 


龍王にまつわる伝説にちなんで

 「龍門山の由来が知りたい」。紀の川市観光振興課に聞くと、「山の岩穴から現れた龍王が大蜘蛛(おおぐも)を退治したとの伝説があります。この龍が淵に入っていく姿が門をくぐっているように見えたのかもしれませんね」と推察します。

明神岩から町を一望できる

 粉河町教育委員会発行『粉河町のなりたち』に伝承が書かれていました。これによると、奈良時代以前は高畑山と呼ばれていたそう。この山に大蜘蛛がすみ着き、ふもとの人や道行く人を襲ったため、朝廷軍が派遣されました。その大将が九頭龍王をまつる神社で祈りを込めると、山頂より下がった峰から岩石と雨風が吹き上がり、洪水に。ぽっかり空いた穴から龍王が現れ、大きな岩に顔を乗せて大蜘蛛のいる山頂をぐっとにらみつけた後、激しい戦いを繰り広げ勝利します。

 この後、龍王は山を下り、神社前の淵に入り、平和が訪れました。龍が出現した穴を風穴、顔を乗せた岩を明神岩と言い、現在はハイキングの見所となっています。

 もう一つの質問、「岩出から見て西側が低く思いますが、どこが山頂?」については、「紀の川側から山を見た時の右側です。付近にはキイシモツケの群生地があり、5月下旬から6月にかけて見ごろを迎えます」とのことでした。

(ニュース和歌山/2022年5月7日更新)