斜面に建物が密集している港町の風景が、イタリア南部のリゾート地に似ていることから、「日本のアマルフィ」と呼ばれる和歌山市の雑賀崎。今回は同市のペンネーム、もみじさんから届いた「雑賀崎の崖(がけ)、〝鷹(たか)の巣〟の由来は?」です。

切り立った鷹の巣。頂上には灯台が

 漁港の西、海に突き出た青石の断崖(がい)絶壁。崖の上には灯台と、その隣にカフェオーシャン・たかのすセンターがあります。さらに、「鷹の巣遊園」と書かれた古い看板が残っています。鷹と崖には何かつながりがあるのでしょうか。

 


 

崖のくぼみに巣を作るから

 「雑賀崎の崖、“鷹の巣”の由来は?」。和歌山市文化振興課に聞くと、文字通り「鷹が巣にしやすい地形だから」とのことでした。

 鷹は崖のくぼみを利用して巣にすることが多く、昔は実際に作っていたそうです。鷹の巣は、江戸時代後期に描かれた地誌『紀伊国名所図会』に「鷹巣巌(たかのすのいわ)」と紹介されています。ちなみに最近、周辺で鷹の姿はあまり見かけず、トンビがよく飛んでいます。

 鷹の巣は高さ約50㍍。3億年前の青石でできた非常に珍しい崖で、1959年、県指定文化財に選ばれました。また現在、灯台が建つ場所には昔、雑賀衆の頭領、孫市が築城した雑賀崎城がありましたが、1585年、豊臣秀吉が紀州征伐した後、廃城になったと考えられています。

(ニュース和歌山/2022年12月3日更新)