かわいい欲張りさん

 和歌山城公園動物園には、アメリカビーバーのオス、ひざし君が暮らしています。ビーバーと言えば、平たいしっぽが特徴的です。この形を生かし、船のかじのように使って自由に泳いだり、水面にしっぽを叩きつけて仲間に危険を知らせ、外敵を追い払ったりします。

     「僕のご飯だ。渡さないぞ」

 朝から来園されたお客様の中には、ビーバーを見ると「まだ寝ているね~」と言われる方がよくいます。ビーバーは夜行性のため、朝には弱いです。ひざし君が活発に行動し始めるのは、だいたいお昼過ぎなので、「泳いでいる姿が見たい!」という方は、ランチを食べてから来ると、元気に動き回るところや、毛繕いしている姿が見られます。毎日午後3時30分がご飯の時間なので、食事中の姿もぜひご覧くださいね。大好きなさつまいもを目の前に持っていくと、素直に受け取らず、軽く威嚇してから受け取ります。とは言っても、腕を前に振るだけ。本人は自分を強く見せようと必死ですが、お互い少し離れた位置にいるので、ひざし君の手は届かず、微笑ましい姿にいやされます。一度威嚇したら気が済むのか、その後はエサを次々と受け取ります。

 ひざし君は欲張りな一面があり、ご飯を小屋まで一気に運ぼうと、大きなリンゴとさつまいもを、口と手で器用に挟み込んで、ヨタヨタと持っていきます。小分けして運べばいいのにと突っ込んでしまいそうになりながら、その姿が可愛くて見惚れてしまいます。

今回の担当:結城 優里さん

 さつまいもは前歯で回転させながら器用に皮をむいて食べます。これはひざし君こだわりの食べ方です。他の動物も、どんな食べ方をしているか観察してみると、違った一面を知れるかもしれませんね。

(ニュース和歌山/2023年5月20日更新)