対戦型テレビゲームを競技ととらえるeスポーツで、人気の高い格闘ゲームのプロライセンスを取得したスティーブンさん(34)とジャッシーさん(30)。共に和歌山市のチーム、和歌山インダミタブルパンダに所属し、4月27日~29日に東京で開催される日本最大の大会、EVOジャパンに出場します。「大会前は1日9時間練習することも。目指すは当然頂点」と熱を込めます。(文中敬称略)

プロへの道

──ライセンスはいつ取得されたんですか?

スティーブン(以下ス)「昨年の9月です。ライセンスはゲームの作品毎に発行されます。私は『ギルティ・ギア・ストライブ』というゲームのプロになりました」

ジャッシー(以下ジ)「僕は去年の12月。『ストリートファイター6(スト6)』で勝ち取りました。メーカーの大会で好成績を収めた選手がプロになれます。県内では我々含め6人がプロ資格を持っています」

──プロになると?

 「日本eスポーツ連合公認大会で、成績によって10万円以上の賞金や賞品が獲得できます。また、ゲームによりますが、国際大会に日本代表として出場する権利が与えられたりもします」

 「EVOジャパンでは、優勝賞金は100万円。海外の大会だと億を超えることもあります」

──プレースタイルは?

ス 「とにかく前へ前へと攻撃の手を緩めず、連続で技を叩き込みます」

「僕は相手の隙を見極めて攻めます。敵がジャンプした時、後ろに下がろうとした時など、相手の状況に合わせて攻撃を選び、実践します」

──ゲームはいつから?

 「初めて触ったのは5歳の時、ストリートファイター2です。eスポーツとして意識したのは5年前。プロ選手の前でプレーする機会があり、『上手いんだから、もっといろんな大会に出るべきだ』と強く勧められ、試しに出場した関西の大会で3位になり、本格的にやろうと思いました」

 「僕も最初はスト2でした。幼稚園のころですね。本格的には20代前半。周りにゲーム友達がいなくて、ゲームセンターでオンライン対戦をしているうちに虜になり、腕を磨きました」

研究を重ねる

──ここ数年、eスポーツが注目されています。

 「以前は、それぞれのコミュニティで集まって練習していましたが、コロナ禍の巣ごもり需要もあって、一気に普及しました。また、インターネットを使ったオンライン対戦が主流になり、自宅にいながら世界中の人と戦えるので、より身近になったと思います」

──格闘ゲーム最大の魅力とは?

 「将棋やオセロなど、長い歴史があるゲームは、昔からある戦法を覚えて戦いますが、格闘ゲームは新作が出た時がスタートライン、つまり横一線です。自分に合った戦い方を考え、工夫できると同時に、練習すればするほど強くなっていくのを実感できます」

 「逆に負けた時は、『練習が足りていないんだな』と考えます。強くなるため努力を惜しまず、もっと時間をかけていろんな戦略を身につけようと切り替えます」

──EVOジャパンまであと1週間です。

 「大会本番まで、世界中のいろんなプレーヤーと戦い、どんなバトルスタイルで挑まれても負けないよう、研究しています。また、隠し球も練習中です」

 「オンライン対戦の予選を勝ち上がった上位6人だけが、大観衆が見守るステージに上がって戦えます。僕が出場するスト6は、大会種目の中でも出場者数が最多の5000人近くあり、注目度はトップクラスです。だからこそ、ほかの選手、観客、そして生配信で観戦する世界中のeスポーツファンに恥じない戦いをし、頂点を目指します」

(ニュース和歌山/2024年4月20日更新)