《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手外科専門医・足の外科認定医
整形外科専門医
谷口 泰德 副院長

 内軟骨腫(ないなんこつしゅ)は、手の骨に多い良性の骨腫瘍です。原因は不明で腫瘍が骨の内部にできて、初期の症状はありません。内軟骨腫が1箇所にだけできる単発性と、複数箇所にできる多発性があります。単発性は症状に乏しく、手のX線検査で偶然に発見されることがあります。X線写真では骨の内部が透明になって見えます。診断のため必要に応じてCT、MRI検査を行います。腫瘍が徐々に大きくなると骨が薄くなり膨張して、痛みが出てきます。手を何かに軽くぶつけた後のX線検査で、骨折を伴った内軟骨腫が発見されることもあります。この時の骨折は、通常のケガの骨折とは異なり、少しの軽い衝撃で骨が折れるため、病的骨折(びょうてきこっせつ)と呼ばれます。

 治療は、初期で痛みなどなく無症状であれば、外来診察で定期的にX線検査を行います。骨が膨隆して薄く弱くなっている時や病的骨折を起こしている場合は、手術が必要です。手術は骨の中から腫瘍を掻き出して、骨欠損部に正常な骨や人工骨を移植します。手術後は骨が癒合するまでギプスなどで固定します。内軟骨腫は良性骨腫瘍であるので手術でほぼ完治します。詳細は手外科専門医にお尋ねください。

(ニュース和歌山/2025年2月16日更新)