空き物件の活用で市街地の活性化を目指そうと、和歌山市が2013年度から開くリノベーションスクール。これまで受講した生徒がスクール内での提案を実現させ、まちに新たなにぎわいを生み出すべく取り組む。2期生は今月、新通にゲストハウスを、3期生は元博労町に今春、日本酒バーを開業する。

旅人と地域つなぐ宿 新通 築47年のビル改修

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 築47年のビルを改修した宿泊施設「ゲストハウスRICO(リコ)」が1月末、新通にオープンする。リノベーションスクールの2期生が、スクール内での提案を事業化させた。受講生で、一級建築士の宮原崇ジェネラルマネジャーは「旅人と地元の人が出会い、時間と場所を共有することで新たな豊かさが生まれる場にしたい」と願っている。

 2014年11月の同スクールで、宮原さんのグループは、空室が目立っていた古ビルのゲストハウスへの改修を提案。グループのメンバーらで遊休不動産を再生し、まちづくりにつなげるワカヤマヤモリ舎を立ち上げ、その第一歩としてRICOをつくった。

 共同住宅や貸店舗として使われてきた5階建てのビルの一部を改装したRICO。1階が受付とカフェを兼ねたラウンジ、5階がゲストハウスで、2段ベッドを並べた相部屋2室と、和室の相部屋2室のほか、個室、共同のシャワールーム、洗面室があり、最大37人が宿泊できる。同市に急増している外国人旅行者や、ゲストハウス好きな日本人をターゲットにしている。

 宮原さんがデザインを手がけ、昨年10月から床張りやペンキ塗りのワークショップを開き、市民と自らの手で改修した。壁は既存のコンクリートを生かし、カウンターやランプは廃材を再利用。解体中の家で処分されかけていた家具もゆずり受けて並べ、くつろぎを感じる空間に仕上げた。橘麻里マネジャーは「建物だけでなく、物も捨てずにリノベーションしています。一つひとつにストーリーがある物ばかりです」と笑顔を見せる。

 2階はまちづくりに関心のある若者や学生が共同で暮らすアパートに改修しており、さらに今夏には1階の空き店舗だった場所に食堂やシェアオフィスをオープンさせる。宮原さんは「幅広い世代の多様な人が集い、RICOを核にこの地域一帯の価値が上がってくれば」と期待している。

 RICO(073・488・6989)。

写真=地元の人も気軽に立ち寄れるラウンジ

 

川と日本酒味わって 今春 元博労町に水辺バー

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 3期生は内川の水辺をコンセプトに掲げた日本酒バー「水辺座」を今春オープンさせる。12月29日にプレイベントを開き、約40人が参加した。

 2015年11月に3日間開かれたリノベーションスクールで、元博労町にある空きビルを担当した9人が企画した。建物の西側に市堀川が流れ、対岸に酒造会社の世界一統があることから、川を生かしたロケーションで日本酒を楽しむ場を提案した。

 プレイベントでは、古いタンスを再利用した酒の移動式販売車を作るワークショップや、世界一統のスタッフらを招いたトークショーを行った。今後、3階建ての1階部分を川の表情が楽しめるよう改装し、準備を進めていく。

 実行委の武内淳さんは「和歌山にはすばらしい酒蔵がたくさんある。和歌山のものをみんなが好きになり、さらに広められる場にしたい」と意気込んでいる。

 ワークショップで製作した酒車は、1月10日(日)にぶらくり丁で開かれるポポロハスマーケットでお披露目する。

写真=改装前にプレイベントを行った

(ニュース和歌山2016年1月9日号掲載)