図書室に掲示された課題図書の紹介文。いずれも丁寧な文字で分かりやすく書かれており、子どもたちはそれを読んで本棚に向かう。書いたのは4月から和歌山市有本の四箇郷小学校で同市初となる学校司書として図書室に常駐する岡恵子さん(60)。岡さんは「読書は読解力や集中力を養うだけでなく、探求心や想像力も育みます。子どもたちと本の橋渡しになりたい」と望んでいる。

160611_sikagou 元小学校教諭の岡さんは、子どもの活字離れを危惧(きぐ)し、司書に応募した。着任後は、ジャンル分けされていなかった本を整理し、表紙が見えるように並べるほか、読書感想文の課題図書を紹介するコーナーを設け、読みどころやあらすじの解説を添える。図書の時間に訪れた低学年には毎回、読み聞かせを行い、50冊以上読んだ児童に手作りのしおりをプレゼントする。

 『大造じいさんとガン』の作者、椋鳩十(むくはとじゅう)の作品を愛読する松浦創大(そうた)くん(2年)は「前は本を探すのが大変だったけれど、見つけやすくなってたくさん読んでいます」と笑顔。田村美結さん(同)は「読み聞かせが楽しみ。教科書に出てくる人の本を教えてくれて読みました」と喜ぶ。

 図書室だけでなく、廊下にも本棚や机を置きオススメを並べる。木村航樹くん(同)は「近くに本があるので、教室や廊下で読むことが増えました」。岡さんは「コミック系が人気ですが、近くに難しい関連書籍を並べると読もうとする子がいます。普段の学校生活で本に触れる機会を増やし、本の面白さを知って読む習慣を身につけてほしい」と願っている。

(2016年6月11日号掲載)