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 野生動物による県内農作物被害が過去6年間、3億2000万円~3億5000万円と高水準を保つ現状に、和歌山県は「10年で被害半減」を掲げ、イノシシとサルの年間捕獲目標数を4月から初めて打ち出す。県農業環境・鳥獣害対策室は「具体的な捕獲数を示すことで、被害額を減らす」と方針を固めた。

 県は、2007年のイノシシを皮切りに、08年にシカ、13年にサルを対象に管理計画を策定。07年にイノシシの捕獲数は年7000頭だったが、近年は1万3000〜1万4000頭に、シカは2000頭前後を1万4000頭まで増やした。それでも、被害額にそれほど変化がなかった。一方、13年に450頭だったサルは、近年1200〜1500頭を捕獲し、被害額は5000万円程度で落ちついている。

 これまでシカのみ捕獲目標数を制定していたが、17年度からの新計画では、捕獲実数を2〜3割上回るよう、イノシシ、シカは1万7000頭、サルは1500頭と目標に定めた。

 鳥獣による農作物被害は深刻で、特に、イノシシ被害は年間1億7000万円と総額の半分を占める。紀の川市で稲作をする男性は「刈り取り間近の田をイノシシに荒らされ、300㌔分の被害を受けました」。中山間地でみかんや柿の果樹被害が多いというJA紀の里は、「捕獲数が増えても、それ以上に繁殖するため、被害がなかなか減らない」と明かす。

 駆除に当たる狩猟者も高齢化が進み減少が続く。捕獲増には狩猟者増が必須で、県は狩猟免許取得呼びかけを強化。銃免許所持者は年々減るが、わな免許取得者は増える。同室は「捕獲を増やしても被害はなかなか減っていないが、高い目標を定めることで、被害減につなげたい」と考えている。

写真=イノシシ捕獲へ、わなを仕掛ける

(ニュース和歌山より。2017年2月8日更新)