びわの産地、海南市下津町の仁義(にんぎ)地区では6月に入り、山の斜面に広がる畑にオレンジ色の実が目立ち始めた。同町曽根田の片山農園では6月3日(土)~25日(日)、収穫体験を受け付ける。同園の片山義章さん(69)は「びわ狩りできるのは県内ではおそらくここだけ。木で完熟した実、採ってすぐの甘さを味わって」と笑顔を見せる(写真)。

 下津インターチェンジから急な斜面を車で走ること約10分。「下津港や紀伊水道、天気が良ければ四国も見えますよ」。みかんに米、さつまいもも栽培する農園で、びわは南向き斜面に約550本植えられている。

 「代々受け継がれてきた畑を守りたい」と会社勤めのかたわら、30代から休日になると山へ入った。放置されていた農地に段々畑を造り、毎年約50本ずつ、木を増やした。会社を退職したのは47歳。そのころにはびわ栽培は軌道に乗っていた。

 丹精込めて育てたびわは得意客に販売するほか、産直市場よってって各店に卸す。そんな中、客から「びわ畑を見たことがない」「びわ狩りをしてみたい」との声が。最初は個別に体験を受け入れたが、口コミで広がり、5年前からはチラシを作ってPRしている。

 和歌山県内のほか、京都や大阪、兵庫と近畿一円から訪れ、リピーターも多い。昨年は記録的な不作で、びわ狩りは2年ぶりとなる。「今年の出来は上々。6月中旬が一番おいしいですね。山の上で新鮮な空気と最高の味をぜひ」

 入園2000円、小学生以下無料。持ち帰り別途。希望者は電話(073・483・1538)で予約。詳細は同園HP

(ニュース和歌山より。2017年6月3日更新)