和歌山市民オペラ協会の定期公演が8月20日(日)午後2時、和歌山市民会館小ホールで開かれる。今回の演目は、3回目となるモーツァルトの『魔笛』。全国的に人気の演出家、岩田達宗(たつじ)さんを招いて送る。多田佳世子会長は「協会発足から20年あまり、日本の一流演出家を迎えられるのは、私たちにとってはここまで成長したんだという証。人間の根底にある複雑さをえぐり出そうとする岩田さんの演出が見どころです」と語る。

 1994年発足の和歌山ふるさとオペラ実行委員会を前身に、97年に改称した同協会。『ヘンゼルとグレーテル』『シンデレラ』『夕鶴』『清姫』など、多彩な演目でオペラの魅力を伝えてきた。

 モーツァルトの三大オペラの一つに数えられる『魔笛』は、2012年、14年に続いて3回目。声楽家でつくる団体、関西二期会準会員の西田昭広さん、和歌山市民オペラ協会会員をはじめ、オーケストラや合唱を含めて総勢100人以上で上演する。

 ドイツ・ケムニッツ市立劇場での『魔笛』で主要登場人物の一人、パパゲーノを演じた経験を持つ大阪音楽大学教授の晴雅彦さんは、和歌山市民オペラ協会の『魔笛』でも3回続けてパパゲーノ役を担う。「ベテラン歌手、そしていずれは日本の音楽界をリードしていくであろう期待の新人歌手たちが一丸となってつくり上げる点が魅力です」。同じく3回連続で夜の女王役を任された久保美雪さんは「今回も楽しんでいただけるよう、夜の女王として舞台で息づきたい」と意気込む。

 岩田さんは「劇中の魔笛は、夜の女王の娘、パミーナを混乱に満ちた世界に残して死んで行く父親が、命がけで子どもたちに託す祈りや願いの込もった品として登場します。実はオペラ『魔笛』は死にひんしたモーツァルトが遺児となる2人の娘への形見として書き残した作品なのです。全人類にのこされたモーツァルトの形見なのだと信じて上演します」。

 自由席5000円、当日5500円(指定席は完売)。同館(073・432・1212)。

写真=本番に向け熱く指導する演出家の岩田さん(右)

(ニュース和歌山/2017年8月12日更新)