和歌山市の8団体 推進法人に〜計画へ参画し公共空間活用

 行政と協働でまちづくりを進める県内初の都市再生推進法人が昨年12月、和歌山市に8団体誕生した。公的団体として市がまちづくり会社や団体を指定。市が立てる都市再生整備計画の策定や見直しに参画でき、自分たちが描くまちのビジョンを市と連携して形にできるのが特徴だ。市都市再生課は「民間は人材やアイデア、行政は許可手続きや資金と、それぞれの強みを生かし、官民協働のまちづくりを進めたい」としている。

 豊富な知識や経験をもつ民間の力をまちづくりに生かそうと国が2011年に始めた制度。市町村は各地域に都市再生整備計画を立て、区域内で公益性の高い活動をするNPO、まちづくり会社、一般社団法人、一般財団法人を指定する。指定団体は計画への提案権が与えられ、公共空間などを使った活動がしやすくなるのに加え、行政が生かし切れていなかった公共施設の活用と維持管理につなげられる。

 16年12月時点で全国25団体。札幌市では、設置が認められていなかった歩道上のカフェや広告看板を推進法人が設け、これらの売り上げを道の維持管理や地域のイベント開催費に還元している。

 和歌山市では、都市再生整備計画がある中心市街地の6団体と砂山・今福地区の2団体が選ばれた。指定団体の一つ、紀州まちづくり舎は毎月、ぶらくり丁でマーケットを開いており、まちのにぎわい創出を目指す。同社の吉川誠人さんは「毎回、道路の使用許可など手続きが多かったが、指定されることで話がしやすくなる」と喜び、「月に一度のイベントに加え、今まで認められなかった空き店舗前の路上に常設の店を設けることも考えたい」と描く。

 同市新通でゲストハウスを運営するワカヤマヤモリ舎は、4月から地元企業と共に大新公園の地下駐車場を管理。利用促進策として、地上の公園で自転車を貸し出すほか、店が入る仮設コンテナを持ち込んでのマルシェ開催を構想する。市都市再生課は「行政は営利活動ができないが、公的位置づけを与えた推進法人は公共空間でできる。まちなかの一等地にある行政の財産を民間の柔軟な発想で生かし、まちの活性化につなげる」と期待する。

 暮らしにより近い地域で活動する推進法人はどうか。砂山・今福地区で街路樹の管理や清掃活動に取り組む砂山バンマツリと愛福会は、空き家や空き地の活用を考える。バンマツリの樫原雅忠さんは「個人所有の物件に話を持っていきやすくなる。地域にある未利用地を活用し、暮らしの環境を良くしたい」。愛福会の中西俊五さんは「指定を受け、参加する住民が増えました。市の公園用地で長年手つかずだった場所の利用を話し合い、住民による地域づくりを進めます」と意気込む。

 官民の協働に詳しいわかやまNPOセンターの志場久起さんは「指定を受けると活動の実現性が高まり、幅が広がる。住民主体のまちづくりを進めていくための大きな一歩。10年、20年先の地域の未来を見据えることが大切で、地域の課題を解決する役割を担っていくだろう」と話している。

写真=市堀川沿いの公共空間を活用したイベント

指定記念イベント

 1月25日(木)~2月17日(土)。1月分は次の通り。「わかやま水辺協議会」設立説明会=25日午後4時と6時半、ぶらくり丁のみんなの学校▽ゲストハウス内覧会=27日(土)1時〜4時、和歌山市元寺町のサナ・イン・タウン▽清掃活動=28日(日)午前9時15分、水軒川魁橋。市都市再生課(073・435・1048)。

(ニュース和歌山/2018年1月20日更新)