折田汎司さんらが修繕

 和歌山城天守閣に登る裏坂に、9体の地蔵がある。戦後、市民にまつられたものの、長年手つかずで、和歌山市の折田汎司(ひろし)さん(83)らが3月から土台の修繕に取り組んでいる。「草が生え、雑然としていました。参拝者は減り、手入れする人もいない。なんとか守りたい」と語る。

 大阪生まれの折田さんは48歳で同市に移り住み、町中の荒れたままになっている地蔵のほこらを補修し、清掃を続けてきた。近年は城内にある白龍神社の整備や堀の水質改善に力を入れる。

 同市和歌山城整備企画課によると、地蔵は戦国時代、石垣のすき間を埋める資材として天守閣の土台に埋められ、天守閣再建中の1957年に発掘された際、市民有志の手でまつられた。史跡内にあるが、民間で独自に設置したもののため、市の管理対象ではない。今年3月、折田さんがセメントでできた土台下の土が崩れているのに気付き、親交のある大阪の建設会社、日本振興に相談した。

 4月12日、自然の土にマグネシウムを加えた舗装材で土台下を補強し始めた。同社の益村義幸さん(51)は「砕けば自然にかえる、環境への負荷が小さい素材。時間がたてば色が落ち着き、景観になじんでいきます」。今月中の完成を目指す。

 毎日手を合わせに訪れる松谷庄三郎さん(82)は「学生のころから参拝し、地蔵と白龍神社を回るのが日課。修復と掃除もしてくれたので、参りやすくなった」と喜んでいた。

写真=修繕作業を見守る折田さん(右)

(ニュース和歌山/2018年4月21日更新)