発達障害の生きづらさを解消したい──。智辯学園和歌山高校1年の上野嘉子さんが、発達障害の特徴の一つ、視覚過敏に着目し、公共の場でも1人になれるサングラスを開発した。8月には、社会的課題解決に取り組む学生団体主催のアイデアコンテストで優勝。医療関係者から助言を受けながら商品化を目指す。

智辯高1年 上野嘉子さん開発

 小学生の時、漫画『光とともに…』を読み、発達障害に興味を持った。応募に際し、当事者や教育関係者に聞き取る中、視覚過敏の人は人混みの中だと目に入る多くの情報に混乱する場合があり、1人になれる場所を確保することが必要だと分かった。

 パニックになる前に気持ちを落ち着かせてほしいと開発したのが、「BV(ブロッキング・ザ・ヴィジョン)レンズ」と名付けたサングラス。既存のサングラスの内側に黒いシートを貼った。普通のサングラスをかけているように見えるが、シートで視界を遮っているため、公共の場で自然に視覚を閉ざせる。視覚過敏のある小中学生に着用してもらったところ、落ち着くと好評だった。

 これまで視界を全て遮断するサングラスはなく、新規性が評価された。審査した日赤和歌山医療センター精神科の東睦広部長は「障害を抱える人は、初めての場所に不安が大きい。視界を遮断し間を置くことで、ゆとりを持って状況を整理できる」と太鼓判を押す。

 上野さんは「レンズの濃さがボタンで変わるサングラスがあるので、このレンズに活用したい。困っている人を助けられる商品を開発することが夢」と意気込んでいる。

(ニュース和歌山/2018年9月1日更新)