銭湯が姿を消す中、和歌山市の大新地区で営業を続ける幸福湯(北休賀町)が、来春リニューアルする。昭和の趣きあふれる空間を記憶に残してもらおうと、改装前の11月24〜26日に初の撮影会を開いた。4代目の中本有香さん(25)は「一人暮らしの人や家族連れ、旅行客など、人と人がふれあう銭湯は町の大切な場所」と魅力を語る。
幸福湯 改装前に撮影会
番台に木札の靴箱、カラフルなタイル目地…。幸福湯は1956年に中本さんの曾祖父が現在地近くで創業し、81年に移転した。家族で営んできたが、機械の老朽化を受け、昨年には廃業の話が出た。「どうしてもなくしたくない」と思った中本さんは、改装し、跡を継ごうと決意した。
そんな中、今年11月中旬に配管が破裂し、急きょ、工事を早めることに。撮影会は、突然の休業を聞いた20代の女性客が企画した。インターネットで呼びかけると、レトロ好きのファンや常連客ら約80人でにぎわった。
大阪から来た金村広則さん(48)は「レトロな銭湯ファンで、各地を巡っています。吹き抜けがあり面白い」。コタツを持ち込んで撮影した京都の大島亮さん(28)は「銭湯もコタツも、靴を脱ぎ、初めて会った人でも近く心地良い空間なのが似ている。タイルの古びた感じは再現できませんね」と笑顔。
年内に工事を始め、再開は来春の予定だ。中本さんは「予想以上の人が来てくれうれしかった。改装後はライブや体操教室などもできたら。みんなが良いと言ってくれる部分は残したい」と張り切っている。
(ニュース和歌山/2018年12月8日更新)