山口小6年 伐採前に創作劇

 60年以上、見守ってくれてありがとう──。和歌山市里の山口小学校にあるメタセコイアを切ることになり、11月16日に行われた土曜参観の集会で6年生43人が木への感謝の気持ちを込め、「メタセコイアの木の下で」と題した劇を披露した。

 メタセコイアは校舎と体育館、同じ敷地内にある山口幼稚園園舎の間に立つ。1954年度の6年生が卒業記念に植えたもので、現在は40㍍以上に成長している。昨年9月の台風時、体育館に接触しそうになるぐらい大きくしなったことから、安全確保のため、きょう23日㊏に伐採することになった。

 65年前に植樹した一人、田村浩一さんは「植えた時は30㌢ほどで、私たちの人生と共に立派に育ってくれた。残してはほしいですが、安全面を考えると仕方ありません」と語る。

 集会では保護者や地域の人が集まる中、全学年が合唱や合奏を発表。6年生はこの日に向け、創作劇の練習を重ねてきた。連れ去られそうになった子どもたちを、不思議な歌や呼び寄せたカラスの協力で誘拐犯から守ったメタセコイアに命の終わりが近づく。子どもたちは木を救うための木の実を山で探し、さらにみんなの歌声で救おうとするストーリーだ。

 体育館では全児童が描いたメタセコイアの絵の掲示も行った。児童会副会長の太田里奈さん(6年)は「すごく高い木で、私の家からも見えます。寂しいけれど、今まで地域の人を見守ってくれた感謝の思いでいっぱいです」と話していた。

写真=メタセコイアの話をお年寄りから聞くシーン

(ニュース和歌山/2019年11月23日更新)