和歌山大学システム工学部 教授 中嶋秀朗さん

 義手や義足、電動車いすなどを使い、障害のある人が生活を送る上で必要な動作に与えられた課題をクリアしていくサイバスロン。2016年、スイスで開催された初の世界大会で、電動車いす部門4位に入ったのが和歌山大学システム工学部の中嶋秀朗教授(46)を中心としたチーム「RTムーバーズ」です。今年5月、世界一を目指し再挑戦。今の心境に迫りました。

 

階段もスイスイ

──サイバスロンとは?

 「義手や義足、動作を補助する器具エクソスケルトンなどを装着して行う大会です。立ち上がってからの移動、階段の上り下りといった、日常生活で必要な動作に課題が与えられ、それをクリアすると得られるポイントを競います」

──前回は電動車いす部門で4位でした。

 「4年前はスイスやアメリカ、中国などから11チームが参加しました。どのチームもキャタピラを使いましたが、私たちは実生活に寄りそったものにするため、車輪が4つの車いすで挑戦しました。キャタピラは実用化すると燃費が悪く、スピードが落ちる。その点、車輪は普通の道路でも走りやすいですから。ただ、安全性を重視しすぎて、速さへのこだわりは足りなかったかもしれない。速度はレベルアップしたので、あとは操作練習が重要です」

──ほかに改良点は?

 「前回の車いすは3段以上の階段は上れませんでしたが、今回は何段でも上れるように車輪部分を左右交互に動く形に大きく改良しました。これは間違いなくオンリーワンのものができましたね。また、競技ではドアを開ける動作も必要で、前の大会では操縦者が自分の手で開けたのですが、新たにロボットアームを搭載し、さらに機能的にしました」

 

暮らしに役立つ

──今回のチームは何人ですか?

 「全員で6人、うち3人が学生です。この大会は企業も参加していて、どうしても資金面で負けてしまう。でも、それを乗り越え、前回から引き続き集まってくれたメンバーなので、とても信頼しています」

──現在クラウドファンディングに挑戦中だそうですね。

 「現地の滞在費、大会登録料や車いすの運搬など、大会出場にかかる費用を募っています。私たちの開発に少しでも興味のある方に賛同いただき、一緒に世界一を目指す仲間になってもらいたい。お金も大事ですが、そういった思いもありますね。支援していただくことで仲間ができる心強さを感じながら、クラウドファンディングを楽しみたいと思います」

──最後に意気込みを。

 「この車いすで世界一になれる自信があります。チームのみんな、そして支援してくださるみなさんの力をお借りし、メダルを持って帰ってきます。でも、根本は、人の暮らしに役立つ機械を作りたい。そこに変わりはないです。この車いすに人生をかけているつもりです」

 

☆クラウドファンディングは「和歌山大学 クラウドファンディング サイバスロン」で検索。

(ニュース和歌山/2020年2月1日更新)