日々、新型コロナウイルスと闘う医療従事者を支援したい──。そんな思いから行動する人たちを取材しました。

達磨画 細く長く描く 渋田忠三さん チャリティー販売

 岩出市の渋田忠三さん(80)が取り組むのは「達磨画(だるまえ)福祉チャリティー」。絵の売上を日本赤十字社に贈る活動で、「コロナとの闘いは長期戦になると思う。ウイルスが終息するまで細く長く続けます」と意気込む。

 元県警警察官で、海南署や橋本署の署長を務めた渋田さん。達磨画は県警時代の40年前、精神修行のために始めた。「署長をしていたころ、人命救助や交通安全に貢献された人に贈る感謝状などは、自分で書いた文言に達磨の絵を入れて贈っていましたね」と懐かしむ。

 今年に入り、新型コロナウイルスが流行。「身の危険がありながらウイルスと闘ってくれている医療関係者の役に立ちたい」と思い立ち、5月にチャリティー活動を始めた。作品は1枚1枚、墨と筆で全て手描き。達磨の絵に、「絆」「忍」「至誠」など申し込んだ人が希望する言葉を添える。

 6月30日には約30人から寄せられた50枚ほどの売上11万9000円を日本赤十字社県支部へ贈った。色紙のみは2000円、額入りが5000円で、掛け軸や扇子にも対応。「お中元に活用したいからと、うちわの注文もありました。申し込んでくれた方の幸せを願いながら、筆を持てる限り、これからも継続したい」

 材料代、郵送料などを除く全額を寄付にあてる。申し込みは「忠龍の達磨画福祉チャリティー」HPから。

 

感謝と安らぎ中庭から ヒロガーデニング 那賀病院に寄贈

 紀の川市の造園会社、ヒロガーデニングは地域医療の中核を担う公立那賀病院(同市打田)の中庭を「光の庭」に改造し、7月8日から医療従事者や患者を和ませている。田邑嘉浩代表は「光と緑が織りなす庭は1階から6階まで、見る方向によって色んな表情があり、生命力を感じてもらえる。医療従事者に感謝を、患者や訪れる人に安らぎを届けたい」と笑顔を見せる。

 庭の製作を申し出たのは5月中旬。出場権を得た世界最高峰の園芸コンテスト「チェルシーフラワーショー」が新型コロナの影響で中止になり、悔しさを抱えていたころだ。田邑代表は「本来ならイギリスで世界中の人に自分の庭を見てもらっている時だった。しかしコロナと闘う医療従事者を連日、ニュースで目にし、自分ができることをせねばと思いました」。

 吹き抜け部分にある70平方㍍の庭を改造。流線型に配置した玉石の上を小川が流れ、耳でも楽しめるよう意識した。また国連が掲げる持続可能な開発目標のテーマカラーに合わせ、17色に塗った植栽テーブルが子どもの目を楽しませ、テーブルに配置したシダ植物やこけは大人に懐かしさを感じさせるようにした。

 同病院の看護師、玉地康二さんは「庭を見ている間はゆっくり時間が流れるような気がします。応援の意味が込められていると知り、励みになりました」と声を弾ませた。

(ニュース和歌山/2020年7月25日更新)