和歌山県 21河川で想定区域図更新

 全国で洪水被害が多発する中、浸水の恐れがある場所や避難場所を知ってもらおうと、和歌山県は21河川の洪水浸水想定区域図を更新した。1000年に一度の豪雨を基準に2年かけて作り直した。県河川課は「新しい情報に更新されたハザードマップを見直し、命を守る行動につなげてほしい」と話す。

 各地で増える豪雨被害。県内でも1時間に50㍉以上の大雨が降る頻度が高まっており、1979~88年と比べ2010~19年の年間平均発生回数は1・9倍となっている。こうした気象の変化に対応するため、15年に水防法が改正され、洪水浸水想定区域図の想定雨量は30年や100年に一度から1000年に一度の最大想定雨量へ引き上げられた。

 これを受け、再試算を進めてきた県は昨年2月に紀北の7河川、今年2月に紀南13河川で新しい洪水浸水想定区域図を公開。これによると、和田川では浸水面積が6割増え、紀三井寺駅周辺が含まれることに。亀の川は水深の変化が顕著で、特に黒江駅周辺はこれまでの70㌢から260㌢となった。また浸水継続時間を初めて試算したところ、和田川や亀の川は水が引くまで最大3日かかるとの結果が出た。

 洪水浸水想定区域図の更新に伴い、各市町村は水害ハザードマップを刷新。和歌山市は3月に和田川と亀の川について発表し、海南市は21年度中の完成を目指す。

 また、県は貴志川のうち、紀の川市の諸井橋より上流の洪水浸水想定区域図を6月に公表。貴志川上流は想定図作成の対象外だったが、下流域の図を国が16年に作成しており、全国の豪雨被害を受け、地元から要望が出ていた。紀美野町は水害ハザードマップを今年度中に配布する予定。

 洪水浸水想定区域図は県河川課HPで。ハザードマップは市町村が各戸に配布し、HPでも公開している。

写真=新想定図(左)と旧想定図(右)では浸水面積が大きく異なる

(ニュース和歌山/2020年8月22日更新)