中高生がすすめる本を文やイラストを交えたカード(POP)で表現するコンクール「YAチャレンジ・ザ・POPワールド」を和歌山市西高松の県立図書館が初開催し、応募数668点の中から、最優秀賞に和歌山商業高校1年、根来千愛紀さんの『何もかも憂鬱(ゆううつ)な夜に』が輝いた。
YAはヤングアダルトの略で、中高生世代を指す。もっと読書を楽しんでもらおうと、「中高生が中高生にすすめたい本」をテーマに募集。あらすじや感想、イラストを盛り込み工夫したPOPを、同館や県教委の職員が選考した。
根来さんが選んだのは、刑務官を主人公に、重大犯罪や死刑制度、生と死を描いた中村文則の長編小説。雨に打たれる人物を抑えた色合いで描き、コンパクトな解説を添えた。「表紙とタイトルにひかれ、夏休みに読みました。作者のあとがきに『水を文章に溶け込ませるように書いた』とあり、そこを意識しました」と笑顔。
このほか、優秀賞に桐蔭中3年の今井弥江さん(宮沢賢治『銀河鉄道の夜』)、那賀高1年の坂浦みなみさん(あさのあつこ『ランナー』)、図書館を訪れた人が投票する会場賞に桐蔭中3年の小川菜都美さん(竹内一郎『人は見た目が9割』)が選ばれた。
同館サービス課の坂口佐知子課長は「ベストセラーや人気作が多く、しっかり読んで自分の言葉、自分の絵で表現したPOPが入選しました。最優秀賞は作品の雰囲気をよくとらえられていました」と話していた。
入賞10点、佳作40点のPOPと本は、カウンター前に3月31日(火)まで展示。同館(073・436・9500)。