県薬剤師会と県病院薬剤師会は3月2日、県立医科大学に薬学部増設を求める3万2533人分の署名を仁坂吉伸知事に渡した(写真)。県薬剤師会の稲葉眞也会長は「薬剤師を志す若者が地元に留まるだけでなく、薬学研究の発展につながり、企業誘致なども見込める」と話している。
県内の薬剤師は2192人で人口10万人あたり221・9人と全国平均の219・2人を上回るが、平均年齢は49・8歳と全国1位。多くが個人で薬局を営んでいる中、若者の都市部への流出が続いており、将来、へき地を中心に薬剤師不足が危惧(きぐ)されている。
両団体は昨年9月から2月末まで薬局などで署名運動を展開。医学、看護学、薬学の学生が同じ大学で学ぶことで現場での連携が図れ、県内外から薬剤師を目指す若者が集まるなど、開設によるメリットを訴えてきた。
署名を受け取った仁坂知事は「積極的に進めたいと考えており、署名は励ましになる」と歓迎した。県病院薬剤師会の阪口勝彦副会長は「県外で薬学を学び、地元で就職する若い薬剤師は少ない。和歌山独自の教育で、地域で働ける薬剤師を育てていきたい」と描いている。
(ニュース和歌山2015年3月21日号掲載)