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 土のうを積み上げた家「アースバッグハウス」が、海南市重根の小川工業で建設されている。秋完成の見込みで、小川昇社長は「アメリカの建築基準を満たした強度の高い建物。地元の土で造ることができ、防災や環境保全面での有用性を知ってほしい」と話している。

 アースバッグは1990年代、イラン人の建築家、ナダー・カリリさんが考案。紛争の絶えない中東の建築文化を取り入れ、平和の象徴として普及させようとアメリカで開発した。

 左官業を営む小川社長は以前から、東南海・南海地震への危機感を持っていた。そんな時、知人から聞いたのがアースバッグハウスで、長い筒状の特別な土のうを積み上げ、ドーム状に造り上げる工法は地震や風水害に強く、災害が多い日本で有効と考え、自社の敷地内に造ることにした。

 6月21日から1週間は日本アースバッグ協会の中野紘志会長を招いてワークショップを開催。従業員らが土のうを美しく積み上げるコツを教わりながら作業を進めた。土にわずかなセメントを混ぜ、土のう袋に詰め、層と層の間には袋がずれないよう有刺鉄線を挟んだ。秋までに、直径3・5㍍、高さ4・2㍍のドームを造り、扉や窓を取り付け、壁面を仕上げて完成させる。

 全国約20ヵ所でワークショップを開く中野会長は「アーチ型なので全方位に強度が高く、シェルターとしても利用できます。災害が多い近年は問い合わせが増えています」と語っている。

写真=土のうを円形に積む

(ニュース和歌山2015年7月8日号掲載)