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 和歌山市立城北小学校など3小学校との統合に合わせ、2017年に移転する伏虎中学校の跡地について、市民を巻き込んだ活用法の議論を同市に求める声が上がっている。同市が市民会館の移設と県立医科大学薬学部誘致の検討を進める中、2月に発足した「みんなで伏虎中跡地を提案する市民の会」はワークショップを開いて意見を出し合い、また、インターネットのフェイスブック(FB)では「伊勢のおかげ横丁のような観光の一大拠点に」と声が上がり、有志がシンポジウムを企画している。

 雄湊、城北、本町の3小学校と伏虎中学校が統合し、市立で同市初の小中一貫校が17年4月、現在の城北小と、隣接する城北公園跡に開校する。

 跡地に関し、同市は医大薬学部の誘致と市民会館の移転を検討。2000人を対象にしたアンケート(870人が回答)では、跡地利用として市民会館は48.3%が「ふさわしい」、薬学部の立地としては肯定が40.6%といずれも半数以下に留まった。

 市民会館移設と薬学部誘致の検討を受け、建築家ら20人が「みんなで伏虎中跡地を提案する市民の会」を発足。8月、市民ワークショップでの跡地利用の検討など、計画への市民参画を尾花正啓市長に要望した。10月には同会が講演会とワークショップを開き、高校生を含む約40人が周辺地域の可能性を探った。

 この中で、校庭部分を芝生化した広場や常設のマルシェ、外国人観光客や周辺住民が集える施設、サイクルステーションなど必要な機能を話し合い、施設案を考えた。

 橋本雅史代表世話人は「高額な費用を投入して本当に建物を新築する必要があるのか、これからの財政を考え、今の伏虎中の建物を活用するプランも出た。意見をとりまとめ、市長に届けたい」。

 一方、和歌山城前の絶好のロケーションを生かした観光拠点施設を求める声がFBを中心に高まっている。発端は紀の川市貴志川町の会社経営者、栄隆則さんが昨年立ち上げ、5000人以上が登録するFBページ「和歌山の自慢を共有しましょう」での投稿だ。老舗やご当地グルメの店、しょう油造りなどの体験ブース、各市町村の観光案内所などを含んだ「わかやま城町横丁」と、現在の大型バス駐車場へのバスターミナルと駐車場開設などを掲げる。

 栄さんは「和歌山はどんどん交通アクセスがよくなっている。お城周辺での観光客の滞在時間を長くするとともに、県内全域の宿泊型の観光につなげる拠点としたい」と力を込める。

 賛同者が増えたことから、メンバー有志が署名活動やシンポジウムを企画。10月には伊勢のおかげ横丁とおはらい町を視察し、議論を重ねた。

 署名活動に奔走する和歌山市のカメラマン、末藤慎一朗さんは「チラシを配ると色々と質問してくれる人もおり、関心の高さを感じます」。1月にシンポジウムを開いた後、市長に署名を提出。また、2月以降、隔月でワークショップを開く。

 市政策調整課は「今は伏虎中学校跡地活用について基本構想を作成しており、市民会館の移転と薬学部設置も含め、今年度中に策定するスケジュールで進めている。人でにぎわい、より市民が使いやすい場にしたい」と話している。
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 FBグループ主催シンポジウム「まちなか観光拠点の創造と元気の創出を考える」…1月23日(土)午後6時、和歌山市手平のビッグ愛12階。和歌山大学の足立基浩経済学部長、加太観光協会の利光伸彦会長らが話す。無料。申し込み不要。

写真=移転後の利用法について注目される伏虎中学校
(ニュース和歌山2015年12月19日号掲載)