20166251_drone 無人航空機「ドローン」の操縦士、安全運行管理者を養成する「Dアカデミー和歌山」を6月15日、和歌山市西高松の会社、未来図(藤戸輝洋社長)が立ち上げた。ドローンは、ビルや橋の検査、測量、宅配事業への活用が期待される反面、昨年から規制が強まった。同社は和歌山の企業として初めて県内全域の飛行許可を取得し、楽しむだけの人への講習会も企画。藤戸社長は「有効活用へ、安全操縦できる人を増やしたい」と意気込んでいる。

 ドローンはGPSを利用し自律飛行可能で、近年は手軽に上空から撮影できると人気が上昇。特別な資格はいらず、安いのは数千円で、急速に広まった。しかし、昨年4月、首相官邸屋上にドローンが落ちていたことから全国で規制が進んだ。

 国体を控えていた和歌山では、県や和歌山市が公園、プール、野球場など人が集まる場所での飛行を禁止。その後、12月に航空法が改正され、住宅密集地やイベント会場、空港近くでの飛行、さらに、夜間飛行も規制された。規制対象外の海上や山中でも、離発着場所が規制区域でないことや地権者の同意が条件となり、気軽に飛ばすのは難しい状態だ。

 30年以上カメラマンとして活動してきた藤戸社長は昨秋、未来図の事業としてドローン空撮をスタート。PR用に和歌山城や片男波海岸、あらぎ島の風景を撮影した。これらの事業を通じ、老朽化した橋やビル外壁の点検、土木関連の測量、農薬散布、宅配と活用分野の広がりを見越し、まず、建設、土木関係者向けのスクール開設を決めた。

 今年1月に、国土交通省から規制にかかわらず県内全域で飛行できる許可を取得。その上で、無人航空機活用を進める日本UAS産業振興協議会の指導者資格を得て、操縦士、安全運行管理者を養成する同協議会認定スクールを県内で初めて立ち上げた。講習は、マリーナシティ第3駐車場と紀の川市貴志川町長山の私有地で行う。

 現在は、7月下旬の開講に向け最終調整中。スクールは4日間で、機体構造や飛行制御技術、安全確保、航空法の講義と、離着陸、空中での水平移動、緊急時操作の実技を指導する。藤戸社長は「橋や建物の劣化調査はもちろん、映像を3D化して土木工事に利用する技術が進んでいる。安倍晋三首相が宅配事業への活用を話しており、活用の場は増える」ときっぱり。

 日本建築家協会和歌山地域会の島桐子会長は、「2階や3階の建物でも足場を組まないと確認できないところはたくさんあります。気軽にチェックできれば、ひびやさびでの劣化がひどくなる前に対応可能」と歓迎する。

 一方、趣味でドローンを楽しみたい人への講習も並行して企画し、マリーナシティで7月に無料体験会を開く予定。藤戸社長は「いずれはレースができるドローンランドを」と夢を語っている。
 詳細は未来図HP(ht
tp://milaizu.co.jp/)。

写真=ドローンを静止飛行させる藤戸社長

(ニュース和歌山2016年6月25日号掲載)