トヨタカローラ 紀美野町で実証実験

 高齢化が進む中山間地域の交通手段確保に向け、トヨタカローラ和歌山は紀美野町長谷毛原地区で2つの実証実験を行っている。乗り合い自動車による買い物支援サービスと、超小型電気自動車(EV)のカーシェアリングで、横山幸平専務は「買い物支援はこもりがちなお年寄りが外に出るきっかけになる。また、山間部は道が狭く、ガソリンスタンドの減少が課題。家庭で充電でき、固定費の安いEVの利用が広がる」と話している。

 山あいにある同地区は人口419人のうち65歳以上が248人と6割を占める。商店はなく、紀の川市にある最寄りのスーパーまで車で30~40分かかるため、免許を持たない人は日々の買い物に苦労している。

 こうした中、同社は6月、乗り合い自動車による買い物支援サービス「きみのり」の実証実験をスタートした。来年3月までで、寄贈した普通自動車2台を、互助団体、元気長谷毛原会のメンバーが使い、ボランティアドライバーとして週1回、スーパーまで送迎する。

 利用する森下澄子さんは「近所には野菜のタネ1袋買うのに苦労している人も。知り合いに頼むより気兼ねなく使えます」と喜ぶ。

 さらに車を複数で共同所有し、必要な時に使うカーシェアリングの実験を9月1日に始めた。軽自動車より一回り小さい2人乗りEVを、10月末まで診療所へ配備。地域外への買い物や通院などに住民が利用するほか、火曜と金曜の午後は医師が往診に使う。

 8月27日の試乗会は「小回りが効き運転しやすい」と好評だった。横山専務は「お試しで使ってもらい、脱炭素社会における活用の可能性を探れれば。高齢者の見守りにもなるので、期間後も地域で継続してもらいたい。過疎地域の問題を解決する全国モデルとなる仕組みを整えていきます」と意欲を見せている。

写真=試乗会で「未来の乗り物や」と喜ぶ地域住民

(ニュース和歌山/2021年9月11日更新)