100年先の野球界を見越し、魅力に触れてもらおうと、県高野連は甲子園出場校のOB始球式や旧優勝旗展示、ファールボールプレゼントなどを実施する。連盟の伊藤誠悟理事長は「まずは10年先を描き、子どもたちが野球に興味を持ち、続けられる環境を整えたい」と意気込んでいる。

歴史紡ぐOB始球式

 夏の風物詩として定着した夏の甲子園。毎年80万人以上が足を運ぶ一方、少子化やスポーツの多様化で野球人口は減少傾向にある。日本高野連は次の100年を見据え、5月に「高校野球200年構想」を発表。普及、振興からケガ予防まで5項目を掲げ、ティーボール教室や高校生と子どもとの交流を後押しする。

 和歌山も県の野球史に焦点を当てると共に、次代の野球界を担う子どもたちにアピールするイベントを企画した。

 夏の選手権では、大正時代に和歌山中(桐蔭)、大戦直前に海草中(向陽)がそれぞれ連覇し、昭和54年には箕島が、平成では智辯和歌山が2度日本一に輝くなど、計7度の優勝を誇る。これらの歴史を紡ぐため、各日の第一試合前にOB始球式を企画した。初日桐蔭、2日目向陽で、準決勝は智辯和歌山、決勝は箕島が担当し、和歌山商や市和歌山、海南など全14校が順番に登場する。小学生や高校生による始球式もある。

 また、県大会優勝旗新調に合わせ、古い優勝旗を球場入口に展示。スタンドに入ったファールボールを観客にプレゼントすることで、球場に足を運んでもらう考えだ。

写真=選手権全国大会出場の14校を始め、県内高校のユニフォームが並ぶスポーツ伝承館

子どもたちへ普及図る

 高校生と子どもの交流は、5年前に始めた那賀が先行する。冬場に岩出市の少年チームを招き、キャッチボールやバッティング、ランナーを追い込む練習を行ってきた。

 今年1月には、対象を那賀地区の16チームに広げ、粉河、貴志川の2校と共催。子ども一人に高校生が一人つき、共に汗を流した。那賀の髙津亮監督は「一緒に和歌山の高校野球を盛り上げようと話しています。今後は、幼児にバットとボールで遊ぶ楽しさを伝え、また、中学生との合同練習も視野に入れています」。

 既に、和歌山東や向陽、和歌山商などが同様の取り組みを始めており、髙津監督は「県の高校野球界が協力して盛り上げたい」と前を向いている。

写真=冬場に高校生と少年野球チームが交流した

(ニュース和歌山/2018年7月7日更新)