むかし、さるの10ぴき家ぞくが、森の中にすんでいました。おとうさん、おかあさん、おじいちゃん、おばあちゃん、そして子どもが6ぴきの10ぴき家ぞくでした。

 ある日、おとうさんが森のおくでどうくつを見つけました。その中におにが10ぴきいました。おにたちは、みんなであつまって何やらこっそりそうだんしていました。おとうさんは、「たいへんだ、早くみんなにつたえないと」と、大いそぎで家に帰りました。

 「みんな、森のおくのどうくつで、おにたちが内しょばなししてたぞ」。おとうさんが言いました。「本当!?」。子どもたちとおかあさんが言いました。「本当かい」。おばあちゃんが言いました。「本当か」「本当か」。おじいちゃんが言いました。

 「本当、本当。おれあしたもういっ回見に行く。おやつにかきもっていっていいか」。おとうさんが言いました。「いいよ」。おかあさんが言いました。「ぼくたち行っていい?」。子どもたちが言い、「いいぞ。あした何もないか?」「うん、何もないよ」「あした、朝早くしゅっぱつするぞ」。おとうさんが言いました。「うん、わかった」。子どもたちが言いました。

 そして、朝がきました。「おとうさん、行こう」「よし、しゅっぱつだ」「いってらっしゃい、気をつけてね」。おかあさんたちにみおくられて、おとうさんと子どもたちは、おにのどうくつをめざしました。

 森のおくのどうくつにつきました。中をのぞくと、おにたちは、大きな大きな大きなすべりだいをつくっていました。「おにさん、何つくってるの?」「森のみんなでサッカーのできる公園をつくってるんだ。かんせいしたらみんなをしょうたいするよ」。おにたちが言いました。「えっ!? みんなのためにつくってくれてるの? じゃあ、ぼくたちもてつだうよ」。おとうさんと子どもたちが言いました。「さるさんたちありがとう」

 そして、さるのおとうさん大かつやく! 森から木をたくさんあつめてきて、ぶらんこ、てつぼう、すべりだい、うんてい、のぼりぼう、そしてサッカーゴールまで、いろいろなゆうぐをつくりました。子どもたちもてつだいました。

 そして、つかれたので、おにたちといっしょに、かきを食べました。おとうさんは、ひらめきました。「そうだ、このかきのたねをまこう」

 8年ご、公園はかきがいっぱい。森のみんながかきを食べながら、サッカーをしたり、ゆうぐであそんだりたのしくすごしています。

 えがおいっぱいのすてきな公園になりました。

……………………………………………………………………………………………………
児童文学作家の嘉成晴香審査員…「あした何もないか?」。お父さんと子どもたちのやりとりが楽しく、おにのもとへ行くのにのんきなもんだ、変だなぁと思ったら、まさかのみんなで村おこしならぬ森おこし。おとぎ話の日常を切り取ったような物語に、思わず顔がほころびました。8年後、6匹の子どもたちも大人になり、きっとおじいちゃんになったお父さんのおだやかな顔が目に浮かびます。

(ニュース和歌山2016年2月13日号掲載)