ニュース和歌山4月14日号で和歌山県内の39歳以下の自殺者増加について報じた。理由はさまざまだが、人間関係を悩みの種とする人は少なくない▼神戸大学名誉教授、精神科医の中井久夫医師は阪神淡路大震災の際、いち早く現場対応に当たり、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の研究を行った。精神医学の立場から多くの評論を著している▼中井医師が大切にするのは会話の「接ぎ穂」だ。「ほう」とか「へえ」といった相づちをうまく使えば、コミュニケーションを円滑に進められると説く。相づちは言葉自体に意味をもたないが、ちゃんと話に耳を傾けているという確認の機能がある。「あなたの話を聞いている」と共感を示せば、相手は安心し、言葉を発することができる。私は取材時、参考にしている▼取材相手から、自分の経験を話し、整理できたために、改めて頑張る気力が出たと言ってもらったことがある。その言葉に自身も救われてきた。生きるためのヒントは、他者との会話の中にこそ隠れているのかもしれない。 (芝﨑)

(ニュース和歌山/2018年4月21日更新)