高齢者ドライバーの事故が問題視される中、車好きの友人は「全ての車をマニュアル車にすれば良い」が持論だ▼聞くと、マニュアル車にすれば、どのギアに入れているか常に自覚するため、前進と後退を間違えにくい。さらに、加速力や必要な制動距離なども考えながらギアを変えるので、乗っている車の能力を体感的に知れるという▼確かに、オートマチック車だとほとんどギアを触ることはない。車の限界を知り、危険性を理解するドライバーが増えればあおり運転も減るだろう。追突防止機能や自動運転と日々進化する技術に逆行するが、便利になりすぎると感性の退化を招くとみる友人の意見も一理あると思う▼国によると交通事故の総数は減少しているが、75歳以上の運転者による死亡事故はここ10年横ばい。技術だけに命を預けてしまうのは危険で、運転者の技能もまだまだ求められる。免許返納か、技術の進歩を待つのではなく、案外アナログに戻す方が事故減少につながるのかも知れない。 (林)