夜の街を歩き、青少年に声をかける「夜回り運動」を、青少年の健全育成に取り組む和歌山市BBS会会長の高垣晴夫さん(57)と少林寺拳法の紀州本町道院長、田村彰浩さん(69)が続けています。

 高垣さんが10年ほど前に仲間に呼びかけ始めました。それを本紙記事で田村さんが知り、一緒に歩き始めました。以来、毎月第2・4金曜の夜、ぶらくり丁から、アロチ、JR和歌山駅前東口・西口、けやき大通りとかなりの距離を歩きます。7月は年1回、ゴミ拾いを兼ねるとのことで、私も同行させて頂きました。

 夜の街には昼間と全く違う表情があります。酔っぱらって道に寝る人、けがを負った人もいるそうです。タバコを口にする未成年の姿も見かけます。そんな時は複数人で声をかけるのが原則です。

 「大人の義務として止めます。『関係ないやろ』と言う子もいますが、今の子は割合素直ですよ」と田村さん。「夜、街にいる子は家より街に温かさを感じています。見守っている大人がいるよ、と伝えることが大切です」と語ります。

 この夜もJR和歌山駅前でスケートボードをしていた若者たちに声をかけ、周辺のゴミを一緒に少し拾いました。他にスケートボードをする場がないとの若者の嘆きを聞き、一方で駅前は人が多く危険だと伝えました。

 夜回りのメンバーは難なく声をかけますが、慣れないとハードルは高く感じます。しかし、私が子どもだった1970〜80年代は、近所のおばさんや商店の人の目があり、「はよ帰りよ」「学校休みかえ」との声が当たり前に飛んできました。当時はうっとうしいものでしたが、そのとりとめもない声の中に街が街としての体をなす、欠かせないかかわりがあったのだと痛感します。これが薄まるとどうなるか。人と人をつなぐ街の結び目はほどけてしまいます。

 高垣さんは「活動は特別なことではありません。夜の散歩やレクリエーションのつもりでも来てもらえたら。街の変化も分かり、楽しいですよ」と笑います。普段の声かけも特段、背伸びすることなく当たり前にできたらと思いますが、なかなかそうもいきません。ただ、その戸惑いの理由、その先に生まれるものは見つめねばと思います。

 毎月第2・4金曜です。関心のある方は和歌山保護観察所(073・436・2501)へ。 (髙垣善信・本紙主筆)

(ニュース和歌山/2019年8月3日更新)