〝郷土図書館〟活用を

 2013年から「ここにしかない地域資源を掘り起こし、可視化する」実践を続けることで、どんな田舎でも、何にもないと言われる過疎地でも、地域資源を掘り起こし、可視化するノウハウが確立でき、そこにしかない価値をデザインできるようになりました。手前味噌ですが、こんな人材はほぼいないので、今は北海道や石川県でも行政や大学と組んで地域おこしの仕事をさせて頂いています。

 そこにしかない文化や自然は重要で、過去にそこで実際に行われていた(存在した)地域資源を生かすことができれば、企画の実現性が非常に高くなります。知識や技術、道具、素材を持っている地元高齢者がまだおられると、物理的にも精神的にも実施するハードルが下がり、ヨソモノや若者から見れば目新しい取り組みになるため関心をひきやすくなります。

 同じ事業をするにしても、外から新しい〝仕掛け〟を持ち込む場合に比べ、取り組みの成功率が大幅に上がります。しかも、その企画や事業は、地域の高齢者と若者の両方が中心となって動くことができ、地域全体でつながりやすく、世代を超えて課題解決に向けて動くことができる企画になるのです。

 そのため、これからは既存の観光資源だけを発信するのではなく、埋もれている自然や文化を時間をかけて一から再調査し、その価値を再デザインして可視化し、文化的多様性のある「コト」の価値を創造することが重要です。他地域との差別化を図り、地域間の競合ではなく協働で生き残りを図るのも必要です。

 地域の高齢者の一人ひとりが本にもインターネットにも載っていない知識や知恵の宝庫である〝郷土図書館〟です。住民(地元高齢者)が土地を守ってくれている今なら、まだその中に埋もれている地域資源を掘り起こすのに間に合います。

 今後、自身のスキルと県内外のつながりを生かし、和歌山の農山漁村の地域おこしのお手伝いができればと思います。地域を本気で残したい方、一度ご連絡ください。あきらめるにはまだ早いです。メール(inakadss@gmail.com)。

(ニュース和歌山/2019年9月28日更新)