体験通して感じ、考える

 和歌山で保育を行う魅力は、送迎バスで移動できる距離の中に自然豊かな森、海、川があることです。大きく広がった空、季節ごとに表情を変える田んぼや野山の風景に子どもたちと心を躍らせながら、毎日バスを走らせます。

 私たちがとても大切にしていることに「食べる」と「つながり」があります。2年前から定期的に和歌山市にある七曲市場へ行き、市場の人と直接話をして魚を購入しています。持ち帰った大きなサワラやタコは、目の前で日本料理の職人さんにさばいてもらい、炭火で焼いて食べます。魚が苦手な子どもも「おいしい!」と歓声を上げるほど。その週に海へ行くと、「あのお魚はこの海で泳いでたんかな?」と食と海をつなげて考えるようになります。

 おいしい魚と海、海で遊ぶ自分とリンクさせ、子どもたちの想像力はさらに豊かになります。想像を膨らまし、「自分の目の前で起こっているものだけが全てではない」と感じ、考えることは、生きていく中でとても大事な力です。

 また野菜は週に一度、提携している有機農家へ子どもたちと一緒に買いに行きます。大事に育ててくれた野菜が、農家さんの手から子どもたちの手へ直接渡ることで、どんな人が、どんな風に手間ひまをかけて育てた野菜なのか、食べ物を育てることがいかに大変なのかを体感しているのではないかと思います。

 その時々で、水田に入ったり、芋掘りをしたり、麦ふみを体験したり…。四季を通じて田んぼや畑で見つけた生き物や植物に感動し、子どもたちは和歌山の食の豊かさを知っていきます。

 主な活動拠点である根来山げんきの森にかかわるスタッフをはじめ、保育を通して子どもたちは多様な仕事に触れ、社会を支える人の温かさを知ります。幼少期から一色に染まらず、多様な色と出合いながら自分を大事にし、大きく育っていくことを願っています。

(ニュース和歌山/2021年3月20日更新)