豊かに生きる土台づくり

 和歌山の豊かな森・海・川の自然を園舎・園庭として見立て保育する「森のようちえん」を立ち上げたのは3年前のこと。きっかけは、私たちが働いていた大阪の学童保育での子どもたちの姿でした。 「暇や~」が口癖で、何をやるにしても「これでいい?」と確認する子が多く、管理的な教育に疑問が生まれたのです。自分で感じ、考え、行動することを大切にしたい。また幼児期からその機会をつくりたいと思いました。

 そんな中で出合ったのが、自然環境の中で保育・子育てする取り組み「森のようちえん」でした。1950年代にデンマークの森で、一人のお母さんが始めたのがきっかけです。現在、日本では300ヵ所で開かれています。和歌山で毎日開園しているのは私たちだけです。

 雨の日もかっぱを着てびしょびしょになるまで遊んだり、どろんこ遊びをしたり。遊具やおもちゃがない自然のフィールドでは、葉っぱや枝がままごと遊びの道具に変身し、戦いの武器になります。五感と想像力をフル回転して遊ぶ日々。挑戦や挫折を繰り返し、全ての経験を大切にして、子どもたちが自分の土台をしっかりと築けるよう見守っています。

 保育の中では、親子関係もとても重要なものです。親が子どもの姿をどう見て、何を感じるか、親の心の持ち方で、子どもの姿が大きく変わっていきます。自分の気持ちと向き合い、大切にできる子は、自分も周りの人も大切にできるのです。

 2019年に行われた内閣府の調査では、日本の子どもたちが国際的に自己肯定感が低かったとの研究結果が発表されました。また和歌山での若年者における自殺率の高さは大至急、改善せねばならない問題です。

 私たちは、その原因を解消するべく、幼児期から子どもの肯定感を守り、親が安心して子育てできる環境やコミュニティを目指しています。

(ニュース和歌山/2021年3月13日更新)