雨ニモ走り回る子ニモマケズ

 とにかく落語がしたいと、披露させてもらえるところを探しました。喫茶店や神社、小学校、デイサービス、古民家…、思いつくところに声をかけて、落語をできる環境をつくっていただきました。

 …が、なかなかうまくいかないものでして。あるライブハウスでは、高座はビールケースに座布団、お客様は2人だけ。ある時は雨の降る中、野外のテントで…。ある老人会では舞台とお客様の間隔が10㍍以上も離れていて、その間をなぜか子どもたちが走り回る…。それはそれは過酷なものもありました(笑)。

 あちこちで落語をさせていただいたおかげで、次第に「落語をしてほしい」と依頼が来るようになりました。披露できるのはうれしかったのですが、いつも同じネタ、短いネタに限定されてしまう。お客様が集まらない…といった悩みもありました。

 そんな時、メンバーから「和歌山市民会館でやろうよ」と意見が出ました。ワークショップ、卒業記念の発表会をした我らがホーム、市民会館での落語会。普段できないネタや長編のネタなど、自分たちが好きなネタをやりたいとの思いを胸に、2011年10月、「伝法橋亭」と銘打って落語会をスタートさせました。ちなみに「伝法橋亭」の名前は市民会館の所在地からいただいています。

 40人ほど入る和室から始めて、今は300人を収容できる市民ホールで開催いたしております。徐々にではありますが、紀の会の落語を見ていただけるお客様が増えています。ありがたいことです。

 年2回のペースで回を重ね、今年5月は「紀の会10周年記念」として大々的にお届けする予定でしたが、昨今の状況を鑑み、延期となりました。あんなことやそんなこと、きゃー! とても紙面では書けなーい! 内容を知りたい方は、秋の伝法橋亭で首を長〜くしてお待ちしております。

(ニュース和歌山/2020年4月18日更新)