政府は人口減少・超高齢化という大きな課題に対し、市民、企業、行政が一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を生かした自律的で持続的な社会を創生するために昨年、「まち・ひと・しごと創生本部」を設置しました。これまで、「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」を通じてさまざまな施策がスタートし、その一環として地方版総合戦略策定のための情報支援ツール「地域経済分析システム」(RESAS)が公開されています。

 RESASは産業構造や人口動態、人の流れなどに関するビッグデータを集約し、可視化したもので、一般の人でも利用することができます。具体的には産業、農林水産業、観光、人口、自治体比較などのマップがあり、地域間のつながりを線で示した花火図が話題となっています。

 RESASを使って、和歌山市の動向を一部紹介すると、2040年の人口は約28万人と推計され、「教育・学習支援」「医療・福祉」「卸売・小売業」の付加価値額が全国と比べて特化している見込みです。農作物の販売では野菜の割合が50%を超え、休日には和歌山県外から平均で約6800人が訪れ、1人当たりの地方税は15万4000円。この金額は全国1741の市町村の中で304位です。

 さまざまなデータを1つのサイトから入手できるのがRESASの強みで、今後もデータベースが拡充される予定です。このような情報公開の流れは急激に進んでいます。従来、一部の公共データは行政のみが保有し、一般向けに公開されることはほとんどありませんでした。しかし、行政が保有するデータを市民や企業に提供することで、政策への評価や新ビジネスの創造につながることが期待されています。この流れをオープンデータといい、政府も環境整備に力を入れています。

 和歌山市に限らず、全国的に人口が減少していく中で政策の選択と集中が重要となっています。そのため行政における統計の重要性は増しています。一方で、私たちの生活を豊かにするためにも必要な情報を吟味し、正しく活用するための統計リテラシーの習得が欠かすことのできないものになっています。

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 和歌山大学とニュース和歌山は毎月原則第1土曜、和歌山市西高松の松下会館で土曜講座を共催しています。次回は11月7日(土)午後2時。講師は瀧寛和学長で、演題は「現代社会に浸透する人工知能」です。

(ニュース和歌山2015年10月31日号掲載)