週に3回行われているイノシシ学校。学校ではイノシシのかりの仕方について習います。そんなイノシシ学校の生徒の一人、ろくに先生の話も聞かず、ぐうたらでねている時もあり、よく先生におこられている「たろう」というイノシシがいました。みんなからは「おい、ぐうたら」とよばれているほど、ぐうたらな性格です。

 そんなある日、たろうはこんなふうに思いました。「もし、自分がカッコ良くて、先生の話もちゃんと聞いたらどうなるんだろう」と。「でもまあ、このままでもいっか」と気にしませんでした。

 イノシシ学校から電話がかかってきて、このように言われました。「たろう君はとてもぐうたらな性格です。もう少し家でもきびしくしてやってください」。母はこれを聞いてたろうのもとに行き、「ちょっと! ! 学校から電話がかかってきたわよ。あんたはもうーなさけないわねー」「もうちょっとみんなの役に立つ事をしなさい」「もしあんたがいい事したら、テレビのニュースにでるかもね」「ぐうたらイノシシがみんなのために活躍って」と言いました。この言葉を聞いて、「まじっ。テレビかー」とおどろきましたが、「うーん。しんどいしなー、はぁー」とため息をつくばかりです。

 5ヵ月後、村にイノシシをおそいにライオンが10ぴきも来ました。イノシシはびくびくで、手も足もでません。ライオンたちがイノシシをおそおうとした時、あるイノシシがライオンにとっ進しました。1ぴき目は1発でたおし、そのまま2匹、3匹、4匹、5匹と次々にたおしていきました。しかし、6ぴき目はけっこう強いやつで、一度とっ進しただけではかないません。すると、6ぴき目のライオンが押さえつけました。もう負けだー、とイノシシ全員が思うとイノシシがライオンをえいっ! !とひっくり返し、イノシシがライオンを押さえつけました。そして「イノシシは重い、もう無理、かんべんしてくれー」とライオンはこう参しました。

 イノシシは体力がなくなってきたけど、7ひき目のライオンも「おりゃー」とたおしました。すると、8、9、10ぴき目のライオンは、7ひき目のライオンが一番強いやつらしく、「おい、おれたちもああなるぞ、もうにげるか、ここは、こっそりこっそり」とにげて行きました。しかし1から7ひきめのライオンは立ち上がれないというので、「おいて行くのもかわいそうだな」とせ負って行きました。「もうイノシシには迷わくをかけません」と消えて行きました。

 ライオンをたおしたイノシシは、まさかのたろうだったのです。みんなはおどろきました。実は母から「テレビに出れるかもね」と言われて5ヵ月の間、みんながねている間にとっ進の練習をしていたのです。この事はテレビのニュースに取り上げられました。「ぐうたらイノシシがライオン10ぴきをこらしめた」と。それからというもの村のイノシシの子ども達はたろうと一緒にとっ進の練習をし、立っぱなイノシシになりました。

 ところで、その後のたろうはというと、前は「おい、ぐうたら」とよばれていたけど今は、「ぐうちゃん」になりました。「やっぱり昼はねむい」。そう思うのでした。

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 漫画家、いわみせいじ審査員…ぐうたらなたろうを、なぜか応援したくなりました。私がぐうたら漫画家だからでしょうか。最後にヒーローとなるも、「やっぱり昼はねむい」。この文が大好きです。大人になったぐうたら漫画家もやっぱり昼は眠いのです。

(ニュース和歌山/2019年1月19日更新)