父の影響でジャズに囲まれて育ち、ジャズ歌手として銀座や横浜などで活躍。2度目の結婚、そして妊娠、出産を機に、和歌山へ戻った。2年後の2008年、タクシーに乗車中、突然の激しい頭痛に襲われた。
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所用を済ませて乗り込んだタクシー。あまりの頭痛に、行き先を自宅から和歌山県立医科大学附属病院に変更しました。到着するなり倒れ込んだそうで、意識が戻ったのは3日後でした。
脳出血でした。手術は無事に済んでいました。でも、右手と右足が動きません。記憶もはっきりしません。そしてうまくしゃべることができません。言語障害です。出血したのは、言語をつかさどる左脳でした。
しゃべれないのですから、歌うこともできません。でも、歌えないことにショックはありませんでした。なぜって? その時は自分が歌手だったこともすっかり忘れていましたから…。
思い通りにならない自分の体に戸惑いながら、頭の中は1歳半になった幼い娘のことでいっぱいでした。「何もできなくても頑張りたい。娘のいる家に帰りたい」。泣きながら夫と母に訴えました。
約半年後、ようやく退院の日を迎えました。自宅に戻り、棚に並ぶ楽譜に気付きました。それを見て、自分がジャズシンガーだということを思い出した…のではなく、知りました。
ハミングで口ずさもうとしても楽譜が頭に入らず。友人と出掛けたカラオケで、音程がずれていることに気付き、絶望しました。歌手復帰は無理…。「生活から音楽を締め出そう」と心に強く決めました。しかし、主治医からのある誘いが、私をステージへ戻すことになりました。
写真=家にあった大量の楽譜が、歌手だったと教えてくれました
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10月28日(日)午後2時、和歌山市湊のピノテラスで、ピアニストの進藤陽悟とライブを開催。3500円。同店(073・488・6308)。
(ニュース和歌山/2018年10月24日更新)