健康意識の高い人やベジタリアンにおなじみの「精進カフェ ふぉい」。2008年、和歌山市新通にオープンして以来人気を集め、15年には2号店となる城北店が誕生しました。新通店店長の杉山由岐子さん(44)は「〝きょうは体に良い食事をしよう〟〝野菜をたくさん食べよう〟と健康を意識し、選択肢の一つとして精進料理を食べてほしい」と話します。

 

肉や魚使わぬ工夫

──なぜ精進料理を?

 「私自身、以前は肉や魚も普通に食べていました。2006年に台湾の友人を訪ねた時、イタリアンやフレンチ、和食など様々な店が精進料理を提供していて驚きました。台湾では精進料理を食べる人が多く、健康的で若々しい。野菜を多く摂取する食生活が健康に良いと改めて気づきました。そこで食生活を変えたところ、体の調子が良くなり、気持ちの浮き沈みが減りました」

──開店の理由は?

 「普段の食事として、だれでも気軽に精進料理を食べられるお店が当時の和歌山にはありませんでしたので、それなら自分が始めようと思い立ちました。まず、本や台湾の友人のアドバイスを参考に、独自のレシピを作りました。精進料理とは、動物や魚、五葷(ごくん)と呼ばれるにおいの強いにんにく、にら、らっきょう、ねぎ、あさつきを使わない料理です。大豆を肉に見立てたからあげやハンバーク、豆腐でカキ、エビを再現したフライ、豆腐とごぼうを混ぜた精進うな重など、植物性の食材を使い、見た目や食感を肉や魚に似せた“もどき料理”に応用しました。“薄味で量が少ない、お坊さんの食べ物”とのイメージと違う、男性でも食べごたえがある精進料理を楽しめます」

 

薬膳鍋と酵素玄米

──自慢のメニューは?

 「台湾で買い付けた薬膳食材を使った特製薬膳鍋です。血中コレステロール値や中性脂肪を下げ、免疫力を高めるとされるクコ、熱や炎症を抑える生薬に使われるカンゾウなど7種類をブレンド。これを昆布だしで煮出したスープに、たっぷりの野菜を入れて食べます。野菜は貴志川の農家さんから直接仕入れた旬のもの。『体の中から温まる』と、寒い時期はもちろん、夏に注文される方も多いんですよ」

──ご飯にこだわりが?

 「酵素玄米を出しています。玄米、小豆、塩を圧力釜で炊き、3日間保温した状態で毎日1回かき混ぜて発酵させます。もちもち食感が特徴で、消化が良く、体内の毒素を排出すると言われています。昼夜と食べて内臓脂肪が改善したお客様も。4ヵ月に一度、講師を呼んで酵素玄米の炊き方講習会をしています。テイクアウトも可能です」

──他の持ち帰り品は?

 「大豆カツ弁当や精進カレー、ベジハンバーグバーガーといった店内メニュー、ソイミートタコライス、精進照り焼きチキンなど丼もあります。感染予防で外出を控える方のためにコロナウイルス収束までの期間限定で夜の宅配も始めました」

──ところで、“ふぉい”の意味は?

 「平和を表現した造語です。1食でも精進料理を選択することで体への負担がなくなり、殺生が減ります。日常の中で社会や環境、体に良いものを食べる意識を広めていきたいです」

 

【精進カフェ ふぉい】

新通店 和歌山市新通3ー3ー1
11:00〜18:30 ㊋定休
☎073-426-5203
※夜の宅配は1.5㌔圏内で、配達料200円

 

城北店 和歌山市西釘貫丁2ー63
11:00〜21:00 ㊍定休
☎073-433-0355

(ニュース和歌山/2020年5月2日更新)