和歌山県内のイベントに出店すると、常に行列ができていたキッチンカーが昨年11月、和歌山市十二番丁に念願の店舗を構えました。店長の山路正展さん（38）は「移動販売では出すのが難しかった本格的なフレンチメニューを楽しんでほしい」と微笑みます。
コロナ禍の開業
──キッチンカーで営業していました。
「２０２０年10月に移動販売店『まぶキッチン』をスタートしました。大学卒業後、和食、イタリアン、フレンチの店で料理の腕を磨き、17年から２年間、ダイニングカフェで店長を務めました。その後、『料理から距離を置こう』と別の職種に就きましたが、やっぱり料理が向いてると、半年で退職。思い切って独立しました」
──なぜ店を構えなかったのですか？
「出したかったのですが、当時はコロナ禍真っただ中。外食産業は大変厳しい状況でした。テイクアウト専門の移動販売なら、いろんな場所で営業でき、いつか店を始める時に役立つと考えました。牛肉消費量が47都道府県の中でも多い和歌山の特性と、時間が経ってもおいしく、テイクアウトにも適していることからローストビーフをメーンに据えました」
──ねらいは的中です。
「キッチンカーで買ってくれた人が、店に来てくれるようになりました。昼はバーガーや丼を、夜はフレンチバルとして、エビのアヒージョや牛タンのシチューなど、お酒に合う料理を提供しています。私はソムリエの資格を持っているので、お客さんの気分に合わせたワインを紹介することができます」
こだわり調理法
──店名にもあるローストビーフの特徴は？
「肉全体へじっくり低温で熱を入れ、一番やわらかく仕上がる温度を保ち、半日かけて作ります。健康的でおいしい料理を出したいと考え、赤身が多くヘルシーなオーストラリア産グラスフェッドビーフを使っています」
──新メニューで人気なのは？
「夜限定で出している『鴨のロティ ロッシーニ風』です。低温調理でやわらかくした鴨肉をスライスし、フォアグラをのせてあぶり、トリュフソースで仕上げています。鴨肉が苦手な人から、『臭みがないからこの鴨なら大丈夫』『他の鴨料理も食べられるようになった』と、うれしいお声をいただきました」
──今後は？
「敷居が高いと思われがちなフレンチですが、カジュアルに食べられる店を県内で広く展開していきたい。まずは出身の海南市に２号店を出すのが目標です。もちろん、キッチンカーでの営業も続けます。イベントを中心に、月に８～10回は走る予定です。移動販売で気に入ったら、店にもぜひ足を運んでもらいたいですね」
【ローストビーフちょい飲みフレンチのお店まぶキッチン】
和歌山市十二番丁66
営業 11:00～14:30
17:00～22:00
定休日 月曜、火曜
水曜昼（夜は営業）
電話 073・488・5139
（ニュース和歌山／2024年1月27日更新）
