智辯和歌山高校野球部元主将で、甲子園には春夏合わせて3度出場。立命館大学を経て、母校・智辯和歌山の教員を9年間務めた古宮克人さん(31)がこの春、退職し、新たな挑戦を始めました。現在、フェイスブックの職業欄には「教育講演家/教育事業家/ユーチューバー/歌手に挑戦中」。大きな一歩を踏み出した古宮さんに話を聞きました。

 

力強く生きるため

──挑戦を決めたのは。

 「智辯和歌山で小・中・高校生を指導する上で意識していたのが、『児童・生徒が人生に生かすために本当に学ぶべきことは何か』を探求し、伝えていくことでした。一人ひとりが将来、充実した人生を力強く生きていくためには、未来をしっかり見定めた上で学ぶ目的を決定し、日々の学校生活を送る必要があります。むしろ、それができなければ厳しい未来が待っているんだと気付ける学びの場が必要と感じました。また、私自身がこれからの時代を見据え率先して行動することで、思考停止してしまっている人たちが『このままではいけない』と気付けるようにと考えました」

──30歳の節目を迎え、そんな思いが?

 「いえ、20歳からです。元々、母校に恩返しがしたくて再びお世話になりましたが、全国制覇に貢献できれば、次の挑戦に向かおうと考えていました。選抜準優勝、髙嶋仁先生の勇退など節目となる出来事が重なった2018年の末に決意し、翌年春に野球部部長を退任、1年かけて後任への引き継ぎを行いました」

──満を持しての、新たなスタートですね。

 「智辯和歌山で高校野球の最前線に携わる中で、『時代の変化に対応すること』『時代の先頭を走っている人の取り組みを知ること』の大切さを痛感しました。現状、学校教育の変化を生み出すプロセスでは、時代の変化のスピードについていけないとの課題に直面しました。教育講演家としては、学校と学校外での学びのバランスの重要性を伝え、個々が一度しかない自分の人生を、本当の意味で力強く生きていくための気付きを与えたいと思っています」

 

歌手に込めた思い

──教育事業家やユーチューバーとしては?

 「教育事業は、学校教育と野球指導に携わる中で大切にしていた『未来のために今、何を学び行動するべきか』を具体的に学び、人生の流れを主体的に変えていくためのセミナーを始めています。ユーチューブでは教育事業の一環として、野球を通した学びとして活用して頂けるよう情報発信しています」

──〝歌手への挑戦〟は非常に興味深いです。

 「歌手は心の片隅にずっとあった夢。目標は〝夏の高校野球のテーマソングを歌い、球児たちと共に全国へ勇気と感動を届ける〟ことです。私の挑戦が、夢と理想を掲げるけれど最初の一歩を踏み出せずにいる方、目の前が真っ暗で先が見えない方などの背中を押し、前向きに、上向きになれるよう応援できる活動になれば最高です。新型コロナウイルスの影響で多くのイベントやスポーツ大会が中止になり、これからも不安な世の中が続いていきますが、目標を見失い、つらい思いをされている方とその思いを共有し、常に前を向いて進んでいくことの大切さやその方法を伝え、学ぶ機会をつくり、メッセージを届けていきたいです」

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 詳細は古宮さんのホームページフェイスブックユーチューブで。

(ニュース和歌山/2020年5月23日更新)