腹話術の全国大会「Fー1グランプリ」決勝に、和歌山から初めて歩を進めた県腹話術協会の宮本敏企会長(71)。2022年にスタートした大会では過去2回とも2回戦で苦杯をなめました。きょう4月13日㊏に神戸市うはらホールでの決勝を前に、「一番自信のあるネタを演じます。仕掛けを考えており、勝算はある」と気持ちを高ぶらせています。

勢いで勝負を

決勝の舞台にのぼるジーニーと魔法のランプ

──初の決勝に向けて。

 「スピーディーなストーリー展開を考えています。第一回は人形6体を操る人、第2回は場を明るくする人が優勝しました。私は技術力が高くないので、少しひねったアレンジをして、勢いで勝負をかけます」

──演目は自信作です。

 「タイトルは『全ての願いを叶えます』。30年近く前、県民文化会館で演じていたとき、たまたま見た人が、『久々に腹の底から笑った』と話していたことを、共通の知人を介して知りました。辛いことがあり、長らく笑うことがなかったそうです。それ以来、『人生は辛いことばかりじゃない。楽しく、やりがいがあると思ってほしい』との気持ちで続けています」

──いつ始めましたか。

 「9歳の時、腹話術の第一人者、川上のぼるさんを見て好きになりました。それから20年後、『講師に川上さんが来ている』と聞きつけて腹話術協会に入会し、直接指導を受けました。その後は年に30〜40回ぐらい幼稚園や学校、高齢者施設などへ行っています」

世界の街角で

子どもから大人まで楽しませてきた人形たち

──40年以上続けてますから、公演は1000回を軽く超えてますね。

 「ほんまやなぁ。数えたことは無かったから、そんなにやってきた意識はありませんでした」

──持ちネタの数は。

 「ざっと20ぐらいですが、する時は来てくれる人に合うようにアレンジしますので、まったく同じのはないですね。大きく分けると、『健康』『人権』『子どものしつけ』の3種類になります」

──過去にどんな賞をとりましたか?

 「今まで腹話術の全国大会は特になかったと思います。2000年にテレビの『素人名人会』で、小学生の娘を人形に見立てた腹話術で名人賞をもらいました。協会としては、22年に県知事表彰を受賞しました」

──これからは。

 「川上さんから『腹話術は大道芸』と言われたのが心に残っています。舞台よりストリートパフォーマンス。大衆芸能なのです。いずれは世界の街角に立ちたい。ただ、最近は『日本にいても外国の人の前ですればいいんだ』との気持ちも出てきました。英語はもちろん、フランス語や中国語、ロシア語など、勉強しないといけませんね」

(ニュース和歌山/2024年4月13日更新)