落語を通して笑いを届けるボランティアグループ、わかやま楽落会の「勇気出し亭うな晴」こと中部晴陽(はるひ)さん(16、桐蔭高校1年=写真右)と「ぴょんぴょん亭うさぎ」こと小阪はやのさん(14、岩出中学校2年=同左)。十代半ばの2人は落語を始めて早10年です。12月19日㊏には節目を記念した落語会を開きます。 (文中敬称略)

みんなにない特技

──その若さで、早くも落語歴10年ですか。

うな晴「僕が楽落会の子どもワークショップに入ったのは6歳。もっと小さい3歳のころから、NHKの『ちりとてちん』を見ながら座布団に座り、拍子木に見立てたカスタネットを鳴らし落語ごっこをしていたそう。覚えてないんですけど、母が撮ったビデオを今見ると、自分で自分がかわいいなと思います(笑)」

うさぎ「私は楽落会ワークショップの1期生だった5歳上のお姉ちゃんが落語を披露してみんなに喜ばれ、楽しそうなのがうらやましいなぁと。それで4歳で始めました」

──これまでの活動は?

うな晴「2人とも様々なイベントに出させてもらい、また、全国で開かれる子ども落語大会に出場してきました。大阪の大会は入賞すると天満天神繁昌亭の朝席に出られるご褒美があり、5回ずつ出演しています」

うさぎ「全国の大会に出て、たくさんの方と出会えたのはうれしいことです。『今度、こっちで寄席を開くんで出ない?』って誘っていただけることも多いんですよ」

──落語の魅力は?

うな晴「やっぱりお客さんに笑ってもらえるところ。覚えるのがしんどく、練習でなえることはありますが、自分から落語を取ると何も残らない。最近はみんなにはない特技を持っているのがいいなと感じます」

うさぎ「今の子たち…って、私も子どもなんですけど(笑)、同級生から『落語って何?』と聞かれることもある。そんな落語や、高座に上がる時の着物もそうですが、日本の伝統文化にふれられている特別感はあります。あと何よりうれしいのは、子ども落語会が終わった後、出演者が並んでお客さんを見送るんですが、私に『ありがとう、面白かった!』と真っ先に言ってくれた時です」

思い出のネタ

──10周年記念の落語会ではどんなネタを?

うさぎ「私は『ちりとてちん』と『星野屋』です。『ちりとてちん』は小学4年生の時、大人の全国大会で100人中6人だけが出られる決勝に残った思い出のネタです」

うな晴「うさぎちゃんは仕草が細かく、きれいなのが魅力で、『ちりとてちん』で腐った豆腐を食べる場面は必見。僕はコロナ自粛中に覚えた『小言幸兵衛』と、子どもたちにも笑ってもらいやすい『代書屋』をやります」

うさぎ「うな晴くんの注目は、顔面の表現力です(笑)。表情がとっても豊かで、私にはない目力がすごいんです」

うな晴「新型コロナが流行するご時世ですが、マスクを付けて飛沫(ひまつ)しないように笑い、たまったストレスを発散してもらいたいですね」

 

うさぎ・うな晴2人会

 12月19日㊏午後2時、海南市日方の海南ノビノス。無料。希望者はわかやま楽落会ぴょんぴょん亭(pyon2teiusagi@gmail.com)。

(ニュース和歌山/2020年11月21日更新)