20140709miryokudoi

 塩分や脂肪を抑え、健康と美容に配慮した「革命カレー」が評判だ。製造するカレー革命wakayamaの土井丈也さん(51)が成人病を患ったのを機に妻の弘美さん(49)が開発。和歌山市内3店舗で販売され、糖尿病や高血圧の患者、女性、年配者から高評価を得ている。フランチャイズで広がり始めたカレーの誕生と、一皿にそそぐ愛情を尋ねた。(文中敬称略)

本来は漢方の一種

──〝革命〟とは。

丈也 カレーは漢方の一種である香辛料を多用しているので、本来は健康食のはずなのに、高カロリーで塩分濃厚。そんなカレーを健康食に作り上げたのが革命カレーです。見た目や味は普通のカレーですが、中身は全然違います。

弘美 一般的なカレーと比べ塩分は9割、カロリーも3割減です。血糖値や血圧が気になる人は「食後の数値の上昇率を抑えられた」と喜びます。

──こだわりは。

弘美 塩の代わりに野菜からうまみを抽出しています。トマトやニンニク、ショウガなどを試し、味と香りのバランスを整えました。果物はリンゴだけでなく、柿やみかん、梅干しも使っています。

丈也 ブイヨンは熊野牛の骨から抽出、野菜や果物も県産の新鮮で味の濃いものを使っています。

成人病きっかけに

──誕生秘話を。

丈也 元々関東で貿易業をし、昼は外でラーメンかカレーを毎日のように食べ、夜は付き合いで飲み会ばかりでした。40歳を過ぎたころに突然、片頭痛が悪化して病院へ。血圧が200以上、中性脂肪は基準値の倍だった。成人病と診断され、10年後の命は保証できないとまで言われました。

弘美 料理は実家の飲食店を手伝う程度でしたが、医師からカレーを禁止されたと聞き、ルーを作ってみました。すると、市販のルーは塩と動物由来の脂質が大量に使われていることが判明。塩分と脂質を抑えたルー作りの挑戦が始まりました。

──難しさは。

弘美 初めに塩やバター、小麦粉を使わずに作りましたが、家族から「味気ない」と不評。香りの強いセロリを入れたり、あえてジャガイモを使わなかったりと試行錯誤を続けました。20種類のスパイスを1グラム単位で調整し、6年かけて今の味にたどり着きました。

──どんな味ですか。

弘美 初めはフルーティーな香りと甘み、酸味が感じられます。次にコクとうまみ、最後にスパイシーさが口に広がり、後口はさっぱりです。発汗作用で美容に良く低カロリーと女性に人気で、年配の人も完食します。

丈也 「一口一口が野菜を丸ごと食べているよう」と聞きます。自分の健康のために作ったカレーが他の人の健康にもつながり、うれしい。

──今後は。

丈也 私自身、血圧と中性脂肪が基準値に戻りました。カレーを通じ、身近な食生活から健康を見直す機会を持ってもらうとともに、県産食材の良さを他府県にもPRしてゆきたいですね。

データ
カレー革命wakayama…JR和歌山駅東口店、善明寺店、移動販売車の3店。東口店(073・474・0758)。

(ニュース和歌山2014年7月9日号掲載)