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 ぶらくり丁に2月、オープンした手作り感あふれる農園レストラン、石窯ポポロ。和歌山市府中で「地球に優しい農業」を目指し、農薬を使わず60種類以上の野菜や果物を育てるNPO法人にこにこのうえんの吉川幸子さん(42)が、夫の誠人さんと運営しています。メニュー作りをする店長の幸子さんに農園や料理へのこだわりを尋ねました。(文中敬称略)

旬のとれたて野菜

——温かい雰囲気のお店ですね。

吉川 主人が仲間と一緒に手作業で空き店舗を改装しました。天井に和紙を張り、壁には藁(わら)を混ぜ込んだ漆くいを塗っています。石窯も手作りです。空き店舗を減らして、ぶらくり丁を元気にしようと、まちづくりに取り組む仲間のサポートを受けながら運営しています。

——どのような料理を提供していますか。

吉川 農園でとれた無農薬の野菜を使った石窯料理がメーンです。ランチは週替わりのセットメニューで、夜はピザやグリル料理。野菜や果物は旬のとれたてが一番おいしいので、畑を見てメニューを決めています。大根をコトコト煮て、その甘みだけで仕上げたポタージュや、春菊とカシューナッツのペーストを添えた原木しいたけの味噌焼きがおすすめ。素材そのものの味を感じてほしくて優しい自然な味に仕上げています。飲み物ははっさくと梅、レモンの酵素ジュースが人気です。

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——店内に焼き立てパンの香りが漂っています。

吉川 パン職人のスタッフがこだわり、レーズンの天然酵母で発酵させ、石窯でじっくり焼いたパンも販売しています。外はパリッと香ばしく、中はもっちり。はっさくピールのパンや麦をひいた全粒粉のスコーンと、農園の素材を生かしたものも並べています。遠くからパンだけを買いに来てくれるお客様もいます。

自然とフェアに

——手作りや自然のものにこだわるのは。

 吉川 小さいころからアニメ『アルプスの少女ハイジ』に憧れがあり、中学生の時に富士山のふもとで牧場体験をしたのがきっかけです。牛の乳しぼりやバター作りがとてもおもしろくて。地球の水や土、生き物の力を借りて、一から自分の手で作る楽しさに目覚めました。長野にある全寮制の大学校で農業を学び、三重県熊野市で2年ほど自給自足の田舎暮らしをしたこともあります。畑で農薬を使わないのは、手間がかかりますが、地球に優しく、自然の生き物とフェアな農業がしたいとの思いからです。

——お店では手作りピザの体験イベントも。

吉川 農園で3年前からえんどう豆のコロッケ作りや、芋を掘ってこんにゃくを作るなど親子向けに食と農の体験イベントを開いています。市街地でも農業に関心を持ってもらう機会をつくりたくて、ぶらくり丁で毎月開くポポロハスマーケット(☆)に合わせ、石窯ピザの手作り体験をしています。全粒粉のピザ生地をのばし、手作りのトマトソースや好きな無農薬野菜をトッピングしてもらいます。農園直送の新鮮野菜と焼き立てのサクサク感が好評で、毎回約200枚焼いていますよ。

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——どんな店にしていきたいですか。

吉川 悲しいことや悩みがあっても、ここに来て食事をしたら、地球とのつながりを感じて、「もう大丈夫、幸せ」と思ってもらえるお店にしたいです。小さな虫や動物、植物や人間がいて成り立っている地球のシステムを、農園の味から感じ取ってもらえれば。

☆ポポロハスマーケット…手作り雑貨や無農薬野菜、焼き菓子などのお店が並ぶマーケット。毎月第2日曜開催。次回は4月12日(日)午前11時〜午後4時。石窯ポポロで手作りピザ体験(800円)やソーセージ作り体験(2000円)を開催。ソーセージ作りは要予約。

【石窯ポポロ】ぶらくり丁商店街内。午前11時〜午後11時。不定休。 ☎ 073・499・4354。


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(ニュース和歌山2015年4月8日号掲載)