「介護の『大変そう』『難しそう』とのイメージを払拭したい」と語るのは、和歌山市北出島の介護相談センター、ピース&ピース専務の西原隼登(はやと)さん(34)。〝介護ユーチューバー〟を名乗り、週に2、3本、入浴や食事介助などの動画をアップし、実際に家庭で使えるテクニックを紹介するほか、視聴者からの質問に答えています。その目指すところを聞きました。

笑い交えて

──配信のきっかけは?

 「5年前に介護施設を立ち上げ仕事をする中で、職員たちと何か楽しい催しができないかと、音楽やお笑いのイベントを開きました。高齢者の方々の笑顔にふれ、介護に対してもっとたくさんの人に明るい印象を持ってもらいたいと考えたのです。そこで発信力のあるユーチューブで動画配信することにしました」

──どんな内容ですか?

 「お笑い芸人として活動している職員と私が、おむつ交換のワンポイントアドバイスや着衣着脱のコツなど現場で使っている技術をメーンに紹介しています。かといって堅苦しくならないよう、おじいちゃんのコスプレをしたり、介護あるあるを話したりと、笑いを交えて、楽しく分かりやすくを意識しながら撮影しています」

──視聴者の反応は?

 「『試したら上手におむつ交換できました』『両腕が曲がらない人向けの着脱方法は勉強になった』と実践した方からの感想がうれしい。また、現場は教科書通りとは限らないので、同業者から『職員への研修に役立つ内容ですね』とコメントがあり、手応えを感じています」

──同業者も参考にしているんですね。

 「文字や絵では分かりにくい部分も映像で伝えられるので、とても便利です。私は前職で介護福祉士として、大学や薬局で講演を行っていました。その時の知識とスキルを生かし、介護職を目指す人だけでなく、一般の人にも伝わるようにしています」

悩みを共有

──生配信もしているそうですね。

 「視聴者からリアルタイムでいただいた質問に答える生放送を2週間に1回程度実施しています。同業者だけでなく、1人で親の世話をしている人や、介護士を目指している人とつながり、要介護者に負担を掛けない移動の仕方や、作業中のミスをなくす方法など悩みを共有し、気持ちを和らげてあげたいんです」

──目標は?

 「調理法やスポーツのテクニックなど、分からないことはまずユーチューブに頼る人が増えていて、きっとこの先も変わらないと思うんです。だから今のうちに介護の腕前と、うまく物事を伝えるスキルを上げ、社会がさらに高齢化していく中で、どんな悩みにもアドバイスできるようになりたい。そしていざという時にこのチャンネルが頭に浮かぶくらい、頼られる存在にしたいです」

──今後は?

 「コメント欄に届いた教えてほしいことにドンドン答えていきます。介護の現場はどこか堅いイメージがあると思いますが、実際は明るく、利用者さんと楽しく交流しています。その雰囲気を伝え、なり手不足の介護業界に興味を持ち、飛び込んでくる人が増えたらうれしいですね」

 動画配信サイトユーチューブ「ピース&ピース

(ニュース和歌山/2021年6月19日更新)