ガラス張りの壁面、間近を走り抜けるJRきのくに線を眺め食事を楽しめる「こたま食堂」(和歌山市中島)。三角地帯に立つ三角形の建物がおしゃれで、2017年の開店以来、ハンバーグやエビフライなど定番メニューが老若男女に愛されています。店長の大硲和恵さん(57)は「栄養バランスがよく、おなかいっぱいになれる。目指すは〝母の味〟」。ここは〝まちの台所〟です。

 

家族で見た夢

──オープンから4年がたちました。

 「以前は海南市で『グリル玉ちゃん』という洋食店を夫婦で20年間、営業していました。13年前に夫が他界し、店を閉めましたが、子どもたちとよく、『またいつか店ができたらいいね』と話していました。2015年ごろ、デザイン事務所を経営する息子が『もう一度、お店やってみる?』と提案してくれました。不安はありましたが、家族の夢のために頑張ろうと決心しました」

──当時のメニューもあるんですか?

 「コックの修業を積んだ夫のレシピを基にアレンジを加えています。やわらかくて、肉汁が詰まったハンバーグや、ミンチカツ、自家製タルタルソースをかけたエビフライなど、当時から変わらず人気なのがうれしいですね」

 

健康面に配慮

日替わり定食(1100円)

 

──定食が人気だそうですね。

 「黒毛和牛のもも肉を使った焼肉や、国産鶏むね肉のからあげなど基本は10種類あります。女性にはチキンカツやとり天定食が人気です。メーンの食材は国産を、お米やみそ、野菜の多くは県産を使っています」

──特に意識していることは?

 「安心・安全、そして栄養価を考えて作っています。私自身はコックの修業を経験していませんので、プロの技術はありません。その代わり、とにかくお客さんの健康面に気を配って、野菜を多く使い、無添加の食材を選ぶようにしています。店のコンセプトは〝母の味〟ですね」

 

憩いの芝生

──それにしても電車が目の前を通り過ぎるのは壮観ですね。

 「家族連れが多く、子どもたちが外の芝生で遊びながら電車が通る度に喜んでいるのをよく見ますよ。店を利用しなくても、芝生は開放しているので、地域の憩いの場として使ってもらいたいですね」

──近所の人が多いんですか?

 「散歩ついでに立ち寄ってひと休みする方もいますが、SNSを見て市外から来てくれる方も。また、玉ちゃんのころに家族で来ていた子どもさんが大人になって、『おばちゃん、覚えてる? 昔の店によく食べに行かせてもらってたよ』と声をかけてくれたことがあって、時の流れと共にうれしさを感じました」

──今後は?

 「今、調理は私一人でしていますが、人数が増えたら、玉ちゃんのころに出していて人気の高かったポークチャップやチキンチャップを提供したいですね。時代と場所が移り変わっても、来てくれる人に〝母の味〟を提供していきたいです」

 

【こたま食堂】
和歌山市中島180ー1
11:00〜15:00
(㊎㊏㊐は17:30〜21:00も)
㊍と第4㊌休み ☎073・488・3130

(ニュース和歌山/2021年10月2日更新)