コロナ禍でお取り寄せが注目を集める中、こだわりが詰まった和歌山の商品を購入できる産直サイト「ファイブスターマルシェ」をご存じですか? 2020年末にスタートしたこのサイト、運営するのは和歌山市のニット編み機メーカー、島精機製作所です。社内ベンチャーとして立ち上げた南村真衣さん(28)は「和歌山で頑張っている生産者の思いに共感した上で購入してほしい」と意気込みます。

 

ひと手間が“味”

──ファイブスターマルシェとは?

 「野菜や果物、魚、ジビエ肉のほか、味噌やジュースといった加工品など、県内の生産者を直接訪問しておいしいと思ったものだけをセレクトしているインターネット上の市場です。新型コロナウイルスの影響で海外出張が激減した2020年秋、社内ベンチャー制度に応募し、早速、12月にオープンしました。今年2月9日時点で約40商品あり、購入すると生産者から直接届きます」

──なぜ産直サイトを?  

 「有田市初島出身で、除草剤を使わず草刈りに汗を流すみかん農家や、しらすを天日干しするおじいさん、おばあさんの姿を見て育ちました。効率化や大量生産の現在、ひと手間が“味”につながっていると伝わらなければ、価格競争に負けてしまいます。そこで、私が直接聞いて良いと感じた生産者のこだわりや思いを伝える産直サイトを目指しました。コロナ禍でホテルやレストランとの取り引きが減って困っている地元小規模生産者の応援にもなります」

写真=農家直送の商品を手にする南村さん(左)とWeb担当の南山真太郎さん

 

代弁者として

─どんな商品を?  

 「例えばジビエ肉は、農家と契約した専門業者が、ワナで生け捕りしたシカやイノシシを加工しています。臭みも硬さもなくておいしいと好評です。チョコレート好きのハッサク農家が作るスイーツは、果物のおいしさが口に広がります。当たり前に続けてきたやり方や商品への思い、生産者ならではのおいしい食べ方といった話が、消費者を引きつけます。生産者の多くはアピールが苦手なので、私が代弁者になって伝えています。これを機に、私自身も本当の意味で地元の良いところを知ることができ、和歌山愛がどんどん深まっています」

──反響は?  

 「月に約4000〜4500人がサイトを訪れ、うち200人近くが購入してくれています。一番多いのは和歌山の人。コロナ禍で帰省できない県外の家族や知人に贈るようです。生産者は『他の農家の取り組みを知られて良い』と楽しんでいます」

──今後の目標は?  

 「アフターコロナに向け、観光と農産品をセットにした商品を考えています。また、昨秋、干し柿を買う人が減り、余った渋柿の扱いに困っていた農家と、おうちで作る干し柿セットを企画。購入した親子が体験の様子をSNSで発信してくれました。わけあり品を廃棄するのではなく、生産者と一緒に新たな価値を作ることで、フードロス削減につなげたいと思います」    

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詳細は「ファイブスターマルシェ」HP。南村さん(080・8924・9301)。

(ニュース和歌山/2022年2月19日更新)